限度のあるクローゼットを活用する収納術

ちょっと油断すると、ついつい出しっぱなしになりがちなのがワードローブ収納の特徴。日々着たり脱いだりするから、早めに散らかりを解消したい! スペースは活用次第、道具は使い方次第ででグンと使いやすい収納に一変しますよ。 

クローゼットが乱れるのはこんな時

しまう方法、しまう場所、しまう量とのバランスがとれていると、出す→使う→戻すサイクルがスムーズで収納が乱れるようなことはありません。ところが日常のほんの小さなことがきっかけとなって、せっかく整えたクローゼットがたちまち混乱します。 

■バランスが崩れるとき

お洒落は服の数じゃない。

お洒落は服の数じゃない

  • 服が増えたとき
  • 服を探しているとき
  • 季節の変わり目
  • 服を元に戻さないとき(着たあと、洗濯のあと

■バランスを崩すと起こる現象 

  • 出したままの服が増える
  • しまい方がいい加減になる
  • 服が見つからなくなる
  • 収納用品を買い足したくなる

バランスの崩れに気づいたら、今の収納法に早速テコ入れをしていきましょう。



収納スペースの容量を知る

開き扉のあるクローゼットなら、扉裏にウオールポケットやパイプを取りつければ小物収納にも利用できる。

ハンガーの向きは揃えるよう気をつけて

服をしまうための収納スペースがどのくらいあるかを知ることが、収納の第一歩です。選びやすい収納法は、ハンガー掛にした服がズラリと並んだ状態。それなら一目瞭然で分かりやすいのですが、ハンガーパイプの長さにも限りがあります。 

ちなみに、ハンガーパイプに吊せる枚数の目安を概算で出してみると、

パイプの長さ○cm÷2cm(洋服1枚の平均幅)=○枚

予想に反して少ないのでがっかりですか? 手持ちの服の大半は、たたんでしまうことになりますので、そのための引き出しや棚が必要です。その引き出しや棚がクローゼットのなかにいくつ置けるか? その個数に収まる数が手持ち服の限界です。 

それならば、部屋の中にも引き出しや棚を置けばいいということになりますが、部屋が狭くなったり居心地が悪くならない程度に抑えること。また、収納場所は同じ部屋で1箇所にまとめるほうが管理しやすいのですが、収まらないときはシーズンオフの衣類だけ別の場所に分けるしかありません。その場合には、季節の変わり目に入れ替えをきちんと実行しましょう。


 

選びやすく無駄のないゾーン収納

着た服の湿気をとばす仮掛けのフック。服装を点検できる全身ミラーがあるといい。

開き扉のあるクローゼットなら、扉裏にウオールポケットやパイプを取りつければ小物収納にも利用できる

服をしまうために作られたクローゼットは、55~60cmの奥行きが一般的です。そのクローゼットの空間を効率よく、しかも選びやすいかたちで活用するには、収納空間を大きく3つのゾーンに分けて、しまい方のルールをつくります。 

ルール1
ハンガーパイプのあるAゾーンには、ハンガー掛けした服を吊す。 
ルール2
床に近いBゾーンには、収納ケースを置いて服や下着、ソックスをたたんでしまう。バッグを置いてもOK。 
ルール3
天井に近いCゾーンには、季節はずれの服や旅行用品など使用頻度の低いモノをしまう。 

この3つのゾーン分けは、洋服ダンスにも当てはめて応用できます。タンスもクローゼットもない部屋であれば、市販の組立式ラックにハンガー用のパイプをセットして、同じく3つのゾーンができるような構成にしましょう。 

さらに収納空間を効率よく使うには、スペース優先でハンガー掛けにした服を丈の長さ順に並べます。そうすれば、服の裾と床との間にまとまった空間があいて、そこに棚や収納ケースを置くことが可能です。スペースに余裕がある場合には、コーディネート優先で並び順に気を配りましょう。アイテム別や色別、用途別に服を分けて並べる方法もあります。 


 

収納用品の活用術

着ていく服をサっと見つけて、出し入れしやすく収納するために、市販の収納用品を上手に活用しましょう。 

その1 引き出しケース 
クローゼットのなかにセットする引き出しは、市販のケースを使って空いたスペースを上手に利用します。 
その際に気をつけたいのは、クローゼットの扉を開けたときにできるデッドスペース。その背後にケースを置くと出し入れできません。折戸や開き戸の開き勝手を確認してから、クローゼットのなかに置くケースを選びましょう。 

その2 シャツホルダー

着た服の湿気をとばす仮掛けのフック。服装を点検できる全身ミラーがあるといい。

着た服の湿気をとばす仮掛けのフック。服装を点検できる全身ミラーがあるといい

また着る衣類、マフラーや部屋着などは、洗濯済みのものとは一緒にしまいたくありません。実は、そういったものを適当な場所に置くことが片づかない原因。そこで繰り返し使うものは、ハンガーに吊すシャツホルダーを利用して定位置をつくってあげます。 

ホルダーがあると季節の変わり目に着る衣類も置けるので、衣替えがスムーズ。バッグ用のホルダーを使えば、よく使うバッグの置き場所にも悩まなくてすみます。 

その3 ハンガー 
コートやジャケットには厚みのあるもの、スカートはクリップで留められるもの、パンツ用には2つ折りで吊せるものもあります。アイテム別にハンガーを統一しておくと、服の肩先が揃うので、乱れがひと目で分かって便利です。型くずれの予防には、服の肩幅にあったハンガーを選ぶことを忘れずに。そしてシワにならないよう、吊す服同士は適度に間隔をあけて同じ向きに整列させましょう。 

天井に近い場所は手が届きにくいので軽いモノ、出番の少ないモノ、季節はずれのモノをしまいます。不織布や紙でできた軽いケースや箱を使えば、上げ下ろしがラクです。棚の上に置いてしまうと、中身のことは忘れてしまうので、似たものをひとまとめに収めてラベルを貼っておきましょう。 


 

ウオークインの注意点

デッドスペースにしまったモノは、結果として死蔵品になる。

デッドスペースにしまったモノは、結果として死蔵品になる

ウオークインタイプの収納は人気があるのですが、その広さや形によって使い勝手の善し悪しに差があります。 

特に期待はずれになりやすい点は、引き出しケースが使いにくい場合です。ケース本体は置くことができても、充分な余裕がないと引き出しが途中までしか開かないことがあります。これは図面だけで予想するのは難しいので、モデルルームやショールームなどで確認するといいでしょう。 

またL型になったハンガーパイプは、コーナー部分で服同士がぶつかるため、実際に吊せる服の数は思ったよりも少なくなります。パイプ上にある棚も同じく、コーナーがデッドスペースです。こうした使いにくいスペースができるのは、仕方のないことと割り切るしかありません。ウオークインタイプのクローゼットを作るときや選ぶときは、そこに置きたい収納ケースの寸法と形、動作に必要な寸法のことも考え合わせて検討することが大事です。 

あわせて、壁面に設けるクローゼットとウオークインとどちらの方法が最適なのか、比べてから判断しましょう。


この記事の担当

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すはら ひろこ
住生活アドバイザー。共働き主婦の目線で快適さを追究しつつ、一級建築士のワザで住宅の構造にあった整理収納コンサルティングを行う。また、住宅や収納家具など商品のデザイン監修も手掛ける。雑誌やテレビ、ラジオなどメディア出演多数。著書・監修書も多く、人気講師として各地でセミナーを開催。 
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