配偶者控除廃止?損をしない共働きへの3ステップ

配偶者控除の廃止が検討されています。廃止となれば、専業主婦世帯にとっては増税に。制度をうまく利用した、損をしない共働きへの3ステップをご紹介します。今、年収を103万円以下に抑えているパート主婦も、お得に手取りをアップさせましょう。



配偶者控除が2017年に廃止される可能性あり

20161101_001.jpg専業主婦優遇策として実施されている「配偶者控除」ですが、女性の社会進出を促進し働く女性との不公平感をなくすために廃止される方向に動いています。この配偶者控除があるために、働くことをセーブしている女性が多いためです。

女性が働きやすい環境になるように、共働きの子育て世帯を意識した新制度の導入を政府が検討をはじめました。早ければ2017年1月から新制度が導入されることになります。



配偶者控除から夫婦控除に?

現在検討されている中で一番有力なのが、「夫婦世帯」を対象とする新たな控除の創設です。この控除は、配偶者の収入に関わらず適用される見通しで、どのような働き方を選択しても同じ結果となる中立的な制度になるもよう。夫婦で子どもを産み育てようとする夫婦に対する優遇策で、今までの配偶者控除とは全く異なる制度となるようです。

これらの配偶者控除の廃止と新しい制度の導入は、女性の働き方に大きな変化をもたらすものとなります。専業主婦やパート主婦に対する「税の優遇」がなくなるからです。そこで、配偶者控除の廃止を見据えて、損せずに共働きへ移行するための3ステップをご紹介します。



配偶者控除を受けるための「103万円の壁」

「配偶者控除」は、一定の所得以内の配偶者がいるなら所得税を安くしましょうというもの。専業主婦やパート主婦の家庭では、夫の所得税が減税されているということですね。

この「一定の所得」はいくらなのでしょうか? パートなどでいう給与所得では「年収103万円」となります。世帯収入を減らさないために、パートの収入を年収103万円以内におさめようとしています。いわゆる「103万円の壁」ですね。



「103万円の壁」はなくなる!

この配偶者控除が廃止されると、妻の年収によって夫の所得税が変わらないことになります。「妻の年収が103万円を超えると損をする!」と思わなくていいのです。

今後の家計を安定させるには、世帯収入アップが不可欠。妻も働くことに越したことはありません。103万円の壁もなくなります。共働きでこの不況を乗り切りましょう。



「130万円の壁」も「106万円の壁」に?

所得税の配偶者控除の「103万円の壁」の他にも、パートなどの主婦を悩ましているのが「130万円の壁」です。夫が会社員や公務員の場合、妻の年収が130万円までであれば、年金や健康保険の被扶養者になり保険料負担が必要ありません。

ところが、年収130万円を超えると、年金や健康保険の保険料を自分自身で支払うことになります。この保険料負担は大きいので年収130万円というのも大きな壁になっています。この130万円の壁が一部の人にとっては、「106万円の壁」に引き下げられることになります。

2016年10月から、パートなどの短時間労働者の厚生年金適用の基準が拡大されます。短時間労働者へのセーフティネットの拡大が目的なのですが、保険料の負担も大きなものになります。

現在は週30時間以上のパートで厚生年金に加入することになっているのですが、2016年10月からは、
1)週20時間以上
2)年収106万円以上
3)勤務期間1年以上
4)従業員501人以上の企業
......これらの基準すべてを満たす場合、厚生年金に加入することになります。その後も、従業員数の規制を緩めて対象者を増やす方向のようです。

となると、「130万円の壁」が「106万円の壁」になる人もでてきますね。このように制度が改正される中、いつでも対応できるように準備をしておきましょう。

賢く世帯収入を増やしていく3つのステップとはどういったものでしょうか?



ステップ1:猶予期間中に仕事探し

20161101_002.jpg妻が急に働き始めるといっても、なかなか大変です。労働環境もさまざまですし、家事はもちろん、子どもがいる場合は育児との両立などを考えなくてはいけません。まずは、長く働ける環境を整えることを目指しましょう。

具体的に配偶者控除がなくなる時期は早くても2017年1月。それまではこの特権を使えるわけですから、この間に職場や仕事を探して、働き始めることを目標にしましょう。長く働ける、収入アップが見込める仕事を選ぶのがポイントです。



ステップ2:キャリアアップを目指す

仕事を始めても、がむしゃらにただ働くだけというのはNGです。配偶者控除が利用できる間は、ウォーミングアップ期間と考えるのが得策。目先の収入を増やすより、キャリアップにつながることを考えましょう。働く時間を増やすのではなく、時給が増える方法を考えるのです。

今、年収103万円以内で仕事をしているという人も、キャリアップを考えましょう。103万円以内に収入をおさえる理由があと少しでなくなります。

ここは資格をとったり、仕事に必要な勉強をしたりするなど、自己投資の期間としましょう。「配偶者控除が利用できる間」と期間も区切ると、やる気も出てきますね。力を蓄える期間です。



ステップ3:廃止と同時に年収160万円以上を目指す

配偶者控除の廃止が決まったら、そこからは一気に年収アップを目指しましょう。目標は年収160万円以上です。

社会保険(年金、健康保険)が夫の扶養からはずれて、自分自身で厚生年金や健康保険の保険料を払っても、世帯収入が減らないところまで働くのです。
一般的に年収160万円を超えるとその負担分を超えて手取りが増えていきます。ですから、一気に年収160万円を目指すのです。あとは、状況に応じて収入アップを考えていくだけです。

以上、配偶者控除が廃止されたとしても損をしない、妻が働き始めるための3ステップをご紹介しました。配偶者控除の制度を最後まで利用して恩恵を受け、廃止と同時にドンと稼ぐ。 今、フルタイムで働くことができない環境の妻にとっては理想のパターンですね。

今からしっかり働けるという人は、年収103万円などといわずに、年収160万円を超えて働くのがベストです。それぞれのライフスタイルをふまえて、働き始めてくださいね。

 


この記事の担当ガイド
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仕事・給与 ガイド 

福一 由紀

 

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