そっと仕入れるボジョレーヌーヴォー基礎知識

11月の第3木曜はボジョレー・ヌーヴォーの解禁日。秋の風物詩となりましたが"たまにはワイン"程度の身には、なぜ赤ばかりなの?冷やすの?ワンランク上のヴィラージュ?など、いまさら聞けない疑問がいっぱい...

日本でもすっかり定着したボジョレー・ヌーヴォー。そこで、いまさら聞けない基本を押さえておきましょう。



ボジョレー・ヌーヴォーって何?

20161101_011.jpg・ボジョレー(Beaujolais) 
=フランスのブルゴーニュ地方南部に位置するボジョレー地区
・ヌーヴォー(Nouveau) 
=フランス語で「新しい」という意味

その名の通り、ボジョレー地区で新出荷されるその年に収穫された葡萄のフレッシュなワインのことです。



ボジョレー・ヌーヴォーといえば赤

20161101_012.jpgボジョレーと名乗ることができるワインは、赤であればガメイ種という品種の葡萄、白ならばシャルドネ種に法律で限定されており、白は全体の1%程度の生産量しかないため大変希少です。さらに、ボジョレー・ヌーヴォーは赤とロゼに限定されているので白はなく、ほとんどが赤なのです。



解禁日について

フランスの法律によって毎年11月の第3木曜日が解禁日とされていますが、日付変更線の関係で世界で最も早く解禁日が来るのが日本でして、本場フランスよりも早く飲めるのです。流通の関係で実際にはこの日以前に入荷しますが、販売してはいけませんし、飲むことも禁止されています。

もともとはフランスの守護聖人を祭った「聖マルタンの祝日」と同じ11月11日だったのですが、その後15日に変更され、さらに休日と重なって運搬に差し支えることのないよう政府が配慮して11月の第3木曜日に確定されました。

ではなぜそんなに騒ぐのでしょう?ヌーヴォーって他にもあるんでしょ?



どうしてそんなに騒ぐの?

20161101_013.jpg通常、フランスの赤ワインは秋の収穫、発酵、醸造を経て翌年以降に飲まれますが、ボジョレー・ヌーヴォーは特別な製法(下記参照↓)によって9月の収穫から2か月程度で発売される出来たてのワイン。フレッシュな味わいで渋みが少なく口当たりが軽いため、普段ワインを飲まない方にも飲みやすく、値段も手ごろ!その年の収穫祭のような文化的側面もあるため注目されるのです。

20数年前(ちょうどバブル期)に日本でブームになった頃は初物好きの日本人と揶揄されたりしましたが、すっかり定着した現在は秋の風物詩としてその味を楽しむ方も多く、日本への入荷量はトップレベルです。



ヌーヴォーってボジョレーだけなの?

もちろん、ボジョレー地区以外でもヌーヴォーは作られています。しかし、ボジョレーが名高いのは、ガメイ種がほかの葡萄に比べて短期間で程よく育ち、フレッシュでおいしいワインを造るのに適しているからです。これをいかすために「マセラシオンカルボニック醸造法」という特殊な製法が用いられ、ボジョレー・ヌーヴォーは美味しいと評判になりました。

さらにワンランク上として、ボジョレー地区37村に限定された「ボジョレー・ヴィラージュ・ヌーヴォー」も人気があります。



美味しく飲むには?

20161101_014.jpg通常、赤ワインは冷やしすぎると渋みが増すので常温(15~20℃程度)でいただきますが、ボジョレー・ヌーヴォーは渋みが穏やかなので、少し冷やしたほうがすっきりとした味を楽しめます。冷蔵庫で1時間ぐらいが目安ですが、ワインクーラーで冷やす方法もあります。

■ワインクーラーの実践アイデアはこちらです ⇒ 1年中テーブルの華になる、土鍋のクーラー


この記事の担当ガイド
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暮らしの歳時記 ガイド 

三浦 康子

 

和文化研究家、ライフコーディネーター。わかりやすい解説と洒落た提案が支持され、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌、ウェブ、講演、商品企画などで活躍中。様々な文化プロジェクトに携わり、子育て世代に「行事育」を提唱している。順天堂大学非常勤講師。著書、監修書多数。

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