旬の食材を丸ごと生かせるごちそうスープ。栄養バランスが良く、からだにも優しい、おいしさいっぱいのスープです。秋の食卓に、ご家族と楽しんでみませんか。
自然の恵みたっぷり、体にやさしい"おかずスープ"
スープというと、西洋料理の食材を煮込んだエキスの出汁をイメージしますが、世界中には、肉や魚介類、野菜などを煮込んだ、さまざまな種類のスープがあります。
これからの季節は、旬の、味がよく、栄養をたっぷり含んだ野菜やきのこ、魚介類などの食材が多く出回るようになります。こうした食材をたっぷり使って主菜にもなる料理が"おかずスープ"です。
野菜や魚介類などを入れて煮込んだスープは、食材から出る栄養のほとんどが溶け込んでいるため、栄養バランスにも大変優れ、効率的に栄養を取り込むことができます。疲れているときや、食欲がないときなど、温かいスープを一杯いただくだけで元気が出てきます。さまざまな自然の恵みが凝縮された"おかずスープ"は、体にやさしい料理だといえるでしょう。
秋野菜のたっぷり入ったポトフは、おかずスープの定番です。
食欲のない寒い朝には、温かいスープを一杯飲むだけで身体が温まり元気が出てきます。
今回の特集で「スープ」について教えていただいた、石澤清美さん。
出版社勤務を経て、料理エディターとして独立。料理研究家として、雑誌、テレビなどで活躍。体にやさしい、季節の食材を使った家庭料理に定評がある。
じっくり煮込むだけの簡単スープづくり
栄養がいっぱいつまったスープ作りは簡単です。野菜や魚介類など旬の食材を合わせるだけでおいしいスープになります。旬のものは手に入りやすく安いうえ、体の営みにも合っています。たとえば、秋冬野菜であるゴボウやニンジンなどの根菜類は、代謝や血行を促す栄養素をたくさん含み、体を温める働きがあります。旬の食材を食べることは、体へのやさしい思いやりでもあるのです。
野菜をたくさん使えばボリュームが出て、それだけでメインのおかずになります。そしてスープをおいしくする一番のポイントは、時間をかけて煮込むことです。よく「スープは時間が作る」と言われますが、じっくり煮込むと野菜から甘みが出て、化学調味料を入れなくても十分においしくなります。アクを丁寧にすくいながら、スープができるまでの間、キッチンから広がるスープの香りを楽しみましょう。
ちょっと時間がある場合は、ブイヨンや昆布などで出汁を作って保存しておくと、スープ作りに便利です。
あまったセロリの葉やニンジンの皮、玉ねぎやニンニクなどでおいしいスープの出汁が取れます。
スープで家族とのコミュニケーションを
できあがったスープを家族みんなでおいしくいただくためには、食卓に工夫をすることが大切です。たとえばスープ皿を少し大きめにしてはいかがでしょうか。大きな器に入れるとボリューム感もあって贅沢に見えます。また、中華風のスープなら中華の器やレンゲを、エスニックな味のスープなら木のスプーンを添えるなど、食材や味に合わせたカトラリーで食卓の演出をすれば、家族に喜んでもらえることでしょう。さらに、スープの色に合ったランチョンマットやクロスなどを合わせると食卓が華やかになり、料理もいっそうおいしそうに見えてきます。
食卓に鍋ごと出し、家族の前で取り分けるのも楽しいものです。取り分けながら、使われている食材についてお子様に話してあげることは食育にもなり、そこからまた新たな話題が広がって、家族のコミュニケーションも生まれることでしょう。
メイン料理のスープにボリュームがある場合は大きめ器を選んで演出してみましょう。
食べる直前にひと味加える
スープを取り分けた後、食べる直前にさらにひと味加えてみると、スープをさらにおいしく食べられます。たとえば大人向けにはラー油をちょっと落とすと、香りが広がり食欲をそそります。また、ハーブやチーズなどで香りや彩りを添えるのもおすすめです。お子様向けには、卵などタンパク質系のものを足してあげると栄養バランスもさらによくなります。栄養とボリュームたっぷりのおかずスープが用意できたら、あとはご飯やパンを添えるだけで十分です。
このように、スープはだれにでもおいしく召し上がっていただける料理です。疲れて食欲がないときやすぐに温まりたいときはもちろん、何を作ろうか迷ったときも、スープは強い味方です。旬の食材をたっぷり使って、おいしい"おかずスープ"を作ってみましょう。
食べる前に酢やラー油、コショウなどの香辛料で、お好みの味にしてスープを楽しみましょう。
「きのこのけんちん汁」の作り方
秋の旬といえば、きのこです。きのこを豊富に使った「きのこのけんちん汁」をご紹介します。香ばしい桜えびの風味が食欲をさらにそそります。
■材料 (4人分)
・木綿豆腐:2丁
・桜えび:16g
・しいたけ:6枚
・なめこ:200g
・えのきたけ:1袋
・ごぼう:1本
・しょうがの薄切り:2枚
■調味用
・酒:大さじ2
・薄口しょうゆ:大さじ2
・みりん:小さじ2
・塩:少々
・水または昆布出汁:カップ4と2分の1カップ
・ごま油:小さじ4
しいたけとえのきたけは、石づきを切り、食べやすい大きさに切る。
ごぼうはささがきにする。
鍋にごま油を熱して、桜えびを軽く煎る。そこに豆腐を崩しながら加え、ざっといためて余分な水分をとばす。
ごぼうを加えてざっと炒め合わせ、しょうが、水または昆布出汁を注ぐ。
煮立ったら、きのこ類を加え、アクを丁寧にとる。
【調味用】で味付けし、6~7分、煮ればできあがり。お好みで七味唐辛子をふりましょう。
日増しに寒くなっていますね。こんなとき、スープはとても力強い味方です。温かく栄養たっぷり、さらに食べやすいので、すぐに体を温め、栄養の吸収も抜群、作り置きもできます。この冬はスープで乗り切りましょう。
肉や野菜を使った具だくさんスープなら、立派なメインのおかずに。白いご飯と一緒なら、それだけで栄養のバランスもとれた食事になります。そんな手間いらずの「おかずスープ」を、肉・魚介・野菜の素材ごとに約70レシピを紹介しています。
地球丸
藤井恵(著)
1,365円(税込)
1皿でおかずになる具だくさんのごちそうスープと、煮込みレシピが満載。ミネストローネ、きのこと鶏肉のトマトシチュー、豚の角煮など、手軽につくれる人気のレシピのほか、体にやさしいスープも紹介。また巻頭には4つの手順で作れる簡単スープ(チキンスープ、野菜スープ)も紹介。
主婦の友社
主婦の友社(編集)
1,029円(税込)
フレンチ、イタリアン、そして和の鍋、スープのレシピ、「鶏のビネガー煮」「鶏の田舎風クリーム煮」「魚貝のオイル煮」「豚肉とじゃが芋のグラタン」「スペアリブの黒ビール煮」など、ユニークでおいしそう、そして手軽につくれる34ものレシピを紹介。寒い季節の強い味方になります。
グラフ社
三宅郁美(著)
1,000円(税込)