今年も、夏本番がやってきましたね!
子供たちが夏休みに入るのに合わせて、ガーデニングに関連した自由研究のヒントとなる記事を毎年アップしていますが、今年は「葉拓」に挑戦してみましょう。
もしかしたら学校のカリキュラムの中で体験したことがあるというお子さんもいらっしゃるかもしれませんが、今回は「葉拓って何?」という方向けに簡単な葉拓の取り方をご紹介します!
「拓本(たくほん)」ってご存知ですか?拓本とは、石碑などに刻まれた文字に紙を当てて写し取ったものや、その技法のことを言います。
拓本という言葉にはなじみのない方も、釣った魚の拓本を取る「魚拓(ぎょたく)」なら聞いたことがあるのではないでしょうか。また子供のころ、紙の下にコインを置いて、鉛筆で擦ってレリーフを写し取ったことがある人も多いはず。これも簡単な拓本の一つです。今回挑戦する「葉拓」は、この拓本の手法を真似て植物の葉っぱを紙に写し取ってみようというものです。
拓本の取り方には、湿らせた紙と墨汁を使った「湿拓(しつたく)」と、前述の鉛筆でコインを写し取ったような「乾拓(かんたく)」の2種類の手法があります。今回の葉拓もこれにならって、絵具を使ったウェットなものと、水彩色鉛筆を使ったドライな手法の2種類をご紹介します。
それでは、まずは葉拓に使用する材料を揃えましょう!
【葉拓の材料(絵具を使う手法)】
葉っぱはいろんな種類のものを、多めに採取しておきましょう。なお葉拓の下準備として、採取した葉っぱを一晩押し葉にしておくと、あとの作業が楽になります。
【葉拓を取る(絵具を使う手法)】
それではさっそく葉拓を取ってみましょう!
作業はテーブルを汚さないように、新聞紙などを敷いた上で行いましょうね。
まずは、葉っぱ全体に水で溶いたアクリル絵の具を塗ります。
塗り終えたら、絵具が乾かないうちに素早く画用紙に伏せておきます。
その上にトレーシングペーパーなどを被せ、たんぽで擦って転写します。たんぽが無ければスポンジなどでも良いでしょう。ガイドはフック付きの吸盤を綿布で包んで、代用品としました。
作業自体は、この行程の繰り返しになります。
【ポイント】
絵具は硬すぎると塗りにくくなりますし、水で薄めすぎると葉っぱへの色のりが悪くなります。また絵具を付けすぎると、画用紙に乗せたときに葉のフチから絵具がはみ出して汚れの原因になったりします。はじめは、何度か捨て紙に試してみるとよいでしょう。
下はアジサイの葉拓ですが、葉の裏と表でも表情の違った拓本が取れます。これも両面試してみましょう。
1回目の拓本が乾いたら、同じ紙に色を変えてもう一度拓本することもできます。緑色にこだわらず、カラフルな作品も楽しいですよ。
次は、失敗例です。左のモクレンは葉っぱが少し毛羽立っているため、絵具がべったりついてしまい、葉脈がうまく出ませんでした。
右のモミジとヘンリーヅタのように、深い切れ込みのある葉っぱは、塗りまでは良いのですが画用紙に伏せるときに葉がうまく広がらず、何だかわからないものになってしまいました。
絵具を使う葉拓には、こういった深い切れ込みや毛羽立ちのある葉は向かないようです。また、ツヤツヤした葉も絵具をはじいてしまうので、これも不向きでしょう。
次はドライな葉拓の取り方です。まずは、材料を準備しましょう。
【葉拓の材料】
普通の色鉛筆では葉拓を取るのに少し硬いので、柔らかめの水彩色鉛筆かクーピーペンあたりが良いようです。
紙は下に敷く葉っぱ自体が柔らかいので、画用紙ではうまく写し取ることができません。ガイドが試したところでは、コピー用紙よりもやや薄いクロッキーブックの紙がうまく葉脈が浮きでました。 ただ、あまり一般的ではないのが難点です。少し薄いのですが、書道の半紙でも良いと思います。その場合は作品として仕上げる際に下が透けてしまうので、コピー用紙など裏打ちの紙を準備しましょう。
【葉拓の取り方とポイント】
手順は絵具を使うのに比べて、グッと簡単!葉拓を取りたい葉を紙の下に敷き、動かないよう押さえながら色鉛筆で擦る......これだけです。
この手法ですと、絵具では失敗したモクレンやモミジ、ヘンリーヅタも取ることができました。
ただし、どうしても「はみ出し」が出てしまいますし、絵の具に比べて色のりは薄くなってしまいます。また前述したように、紙が薄いため下が透けてしまいます。これらを踏まえた上で、お好みの手法を選んでいただければと思います。
低学年のお子さんなら、大きな画用紙に色とりどりの葉拓をたくさん取って、1枚のアート作品にしてみるのはいかがでしょう。
また、1枚の葉拓をベニヤ板やイラストボードに貼って、木の枝で額装しても素敵ですね!
夏休みの1日、楽しみながら作品作りに励んでみませんか?
この記事の担当ガイド | |
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ガーデニング ガイド 畠山 潤子はたけやま じゅんこ |
花と緑のある暮しを楽しむ、ガーデニングライフのプロパゲーター。
花好きな母のもと、幼少より花と緑に親しむ。1997年より、本格的にガーデニングをはじめる。
ガーデニングの素晴らしさを多くの人に知ってもらいたいとの思いで、ガーデンライフアドバイザーとして記事執筆や監修、講習会の講師などの活動を行う。
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