ラグは手軽に室内の雰囲気を変えることができるお洒落なインテリアのひとつです。このアキは、ラグで気軽にお部屋の模様替えをしてみませんか。
遊牧民の暮らしが生んだラグ
ラグの歴史をさかのぼっていくと、中央アジアの遊牧民の暮らしにゆきつきます。彼らはテント生活の中で、ヤギや羊の毛を使った織物を地面に敷き、寒さを和らげていました。これがラグつまり絨緞の起源といわれています。
やがて絨緞は西アジア各地にも広がり、また日本にはシルクロードを経て、室町時代に中国から渡ってきます。贅を尽くす京都の祇園祭の山鉾(やまほこ)に飾られ、貴重な織物として、人びとにその美しさを伝えていました。私たちの暮らしに絨緞が入ってきたのは明治維新の頃からです。今ではインテリアの一つとして欠かせないものになっています。
URBANDESIGNERS/練馬展示場(東京都練馬区)
今回の特集にて「ラグの魅力と選び方」について教えていただいた、インテリアアドバイザーの畠山初枝さん。
<プロフィール>
丸井がプロデュースするインテリアショップ「in The ROOM」のアドバイザー。絨緞、ラグを中心に、インテリアのトータルコンサルティングを担当して10年になる。
部屋に調和やアクセントを
ラグの最大の魅力は、インテリアとしての装飾性です。色、大きさ、形など、様々なデザインバリエーションが楽しめ、家具と床が合わない場合でも、ラグを1枚敷くことで、部屋に調和やアクセントをもたらせてくれます。またアート性の高いラグは、広い空間におくとインテリアの主役となります。
機能面では、足元を温める、床の傷を防ぐ、音を響かせない、埃を吸着するなどの効果があります。
素材は、吸湿性と保温性の高いウールをはじめ、発色が美しいアクリル、丈夫なナイロン、さらに牛革や紙など多彩です。生活スタイルや好みに合わせて自由にお選びください。
ペルシャ絨毯の魅力は、その模様の美しさとデザインの多さ、そして時が経つほど増す風合いや味わい深い色彩、良質のものなら数十年から100年以上も使える耐久性にあります。そして最大の特徴は、どのようなインテリアにもコーディネートでき、お部屋の雰囲気をグレードアップさせることです。絨毯が作られている産地によって模様や織り方にも特長があり、お気に入りの一品が必ず見つかるはずです。
価格は 一般のラグなどに比べて高価ですが、よいものは長く使うことができ、また古くなっても、アンティークとしての価値が出てくるなどの特長もあり、経済的であるととものに、長く使っていて楽しい絨毯と言えるでしょう。
意外かと思われるかもしれませんが、ペルシャ絨毯はフローリンクはもちろん、和室そしてアンティーク調のダイニングなどにもマッチします。さまざまな模様や色がありますので、お部屋に合わせて選んでみると楽しいでしょう。(資料提供:フランスベッド株式会社)
色・デザイン・素材をコーディネート
敷くだけで、室内に調和やアクセントを生み出すラグ。毎日の暮らしに楽しい変化をつけてくれる、インテリアのひとつです。くつろぎのスタイルやインテリアに合わせてお洒落な秋を演出してください。
色や柄を変えるだけでイメージ一新
室内のイメージをガラリと変えてくれるラグ。まずは、家族が集うリビングで考えてみましょう。基本は、家具や床の色と調和させることが大切です。例えばソファと同系色のラグを合わせてはいかがでしょうか。色数が少ないシンプルな組み合せは、部屋に落ち着きと上質感を与えます。曲線や模様の入っているタイプで空間に動きをつくるのも楽しいでしょう。さらにクッションや照明器具などと色調を合わせれば、より洗練された雰囲気が生まれます。
ソファを窓辺に置いている場合はカーテンの色との調和を、ガラスのテーブルをお使いの場合は、大胆な柄物のラグにするのがおすすめです。部屋が狭い場合は床に近い色のラグ選びを考えるとよいでしょう。
サイズは生活のスタイルによって選んでください。リビングの床に座ってくつろぐことが多いのであれば、余裕を持って大きめのラグを選びます。素材は毛足の長いウールがおすすめです。ソファ中心の生活なら、テーブルよりもひと廻り大きなサイズのものでよいでしょう。
ダイニングにラグを敷く場合は、立ち上がった時に椅子がラグからはみ出ないサイズのものを選びましょう。椅子を引いたときの音を和らげ、床の傷防止にもなります。素材は、汚れにくく掃除しやすいナイロン製の毛足の短いものがおすすめです。
床・テーブルなどベージュ系の室内に調和させた、シンプルで明るめのラグ。落ち着いた雰囲気を作り出します。濃い目のクッションは室内のアクセントになります。
アウトリビングのソファの前にラグを敷いて、素足での読書はいかがですか。
ラグをアクセントに個性を演出しましょう
小さなスペースでもラグを1枚敷くことで、メリハリが出て足元への温もりを演出できます。プライベートな空間こそ自由に個性をアピールして、心地よさにこだわりましょう。
寝室のラグは、ベッドカバーやカーテンの色と合わせることで落ち着きが生まれます。素材は湿度を調節し匂いを吸収するウールが基本になります。
ベッドルームには起きて立ち上がる場所に毛足の長いラグを置きましょう。
お子さまの部屋には、鮮やかな色、花や円などの可愛い形のラグを選んであげましょう。素材は耐久性に優れ、汚れにくいポリエステルやナイロンなどがよいでしょう。
子ども部屋にラグを敷くと、床の傷を防ぎ、音も和らげてくれます。
お客様をお迎えする玄関には、明るい色合いのものや、鮮やかな柄のラグマットなどで華やかさを演出したいものです。
玄関にはナチュラル感のある大柄なデザインが、爽やかな印象を与えます。
「敷く」から、「飾る」、「楽しむ」、「機能する」ラグへ
室内の家具や小物を一段と際立たせるデザイン性の豊かなラグ、遊びごころがあるラグ、ライフスタイルにあった機能性の高いラグ。ラグ一枚で、お部屋の雰囲気がきっと変わります。
鮮やかな色調を組み合わせたモザイクデザインのラグ。明るく、温かみがあるので室内を華やかにしてくれます。
柔らかな曲線の流れが、シンプルでモダンな雰囲気をつくりだしています。北欧スタイルのラグとして人気があります。
ジグゾーパズルをそのままラグにしたようなデザインです。組み合せが自由なので色々な模様替えが楽しめます。
ベージュやブルーを基調とした上品な配色が特長的な「ナイン」産のペルシャ絨毯は、クールな感じでフローリングの部屋にもよく似合います。
"畳に絨毯"というと違和感があるかもしれませんが、こうして見ると、なかなかオシャレです。なお「ダブリーズ」とは、イラン北西部にある古都の名称です。幾何学模様のデザインが多く、和室にも洋室にも合いやすい絨毯です。
模様替えの参考に、インテリアコーディネートのHowToから、見て、読んで楽しめる書籍をご紹介します。
住む人の数だけ家や部屋がある。人それぞれのこだわり、「好き」と「気持ちいい」が詰まった空間を手に入れるためのインテリアのルールを、実例をたっぷり交えて紹介。雑誌を読む感覚で楽しく学べる1冊です。版型が小さいので外出時にも気軽に持ち運べます。『Grazia』別冊。
講談社
定価:1,365円(税込)
快適なインテリアをつくるためのヒントやコツが、Q&A形式でコーディネート実例を交えてわかりやすく解説されています。リビングやキッチンなど、空間やコーナーごとに様々な疑問に答えます。ワンランク上の部屋づくりを目指す人の必読書です!
トーソー出版
定価:1,890円(税込)
オリエントの古典的デザインから現代の絨毯デザイナーの革新的なものまで、世界的な絨毯の様式が学べる絨毯デザインの指南書です。敷物としてはもちろん、壁掛け、クッションカバー、ソファー掛けなど、あらゆるシーンで絨毯の演出が掲載されています。
フィリップス(著)
バーティ・クルター(著)
ジャクリーヌ(著)
高野陽子(訳)
山下太一郎(訳)
千毯館
4,830円(税込)
素敵で美しいインテリアづくりのためのカラーテクニックを紹介。流行の色、白・茶色使いの極意、アクセントカラーの使い方、部屋別カラーコーディネートのコツなどを、豊富な実例でくわしく解説。モダン、和風、カントリーなど、テーマごとの提案も参考に。
成美堂出版
1,260円(税込)
おしゃれなライフスタイルで人気のあった作家、森瑶子の長女が提案するイギリス流cosy home。スッキリ&温もりあふれるお部屋のアイデアがいっぱい。見ているだけでも優しい気持ちになる、可愛いイラスト図解もわかりやすくて愛着の湧く1冊に。
ヘザー・ブラッキン(著)
大和出版
1,575円(税込)