香りに充たされる時間

その香りのなかにいると、気持が自然と落ち着いてきます。コーヒーには、人の心をやわらげる不思議な力が潜んでいるようです。コーヒーを、もっと身近なものにする工夫を紹介します。

コーヒーに歴史あり

江戸時代の1804年、大田蜀山人(おおたしょくさんじん)が書いた日本人初のコーヒー体験記に「コーヒーは焦げ臭く味わうに耐えない」とあります。今では信じられないことですね。

そもそも人間とコーヒーとの出合いは、今から千年以上も前。アフリカのエチオピアでのことと言われています。当時は薬として飲まれていましたが、16世紀頃にヨーロッパで瞬く間に普及し、やがて世界中の人々に愛される飲み物になっていったのです。

日本では今、"シアトル系"と呼ばれるカフェが注目され、エスプレッソコーヒーをベースにしたカフェラテ、カプチーノなどが人気になっていますが、家庭でもその味わいを楽しむポイントをご紹介します

 

 

 

コーヒーには人の気持ちをリラックスさせる力があります。一人でもお友達と一緒のときでも、くつろぎの一時にはぴったりの飲み物です。

{写真}:ライフスタイル

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今回の特集にて「コーヒー」について教えていただいた、小池美枝子さん。

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プロフィール
コーヒーマイスターの資格を持つ女性トップバリスタ。ジャパンバリスタチャンピオンシップ2006優勝。父のコーヒー店をサポートしながら、コーヒー商品のプロデュースやCD制作など多彩な活動を展開。著書に「エスプレッソ&コーヒー」。

豆の種類、焙煎、挽き方、抽出で味が決まる

コーヒーの味わいを決めるポイントは、豆の種類、焙煎、挽き方、抽出の4つです。

焙煎は、一般的に浅煎りだと酸味が強く、深煎りだと苦味が強くなります。少し技術が必要ですが、焙煎器などを使えば家庭でも手軽にできます。

挽き方は抽出方法によっても変わりますが、均一に挽くことがポイントです。挽いた瞬間から酸化が始まり、香りが失われていくため、飲む直前に挽くのが最良とされています。

そして抽出ですが、高温だと比較的苦味が勝り、低温だと酸味が目立つコーヒーになります。

4つの組み合せでさまざまな味わいをつくりだしますが、中でも、豆の種類、焙煎で風味の8割は決まると言われています

 

{小見出し:ガーデニング}

生コーヒー豆

浅煎り(7~8分)

中煎り(8~9分)

やや深煎り (9~10分)

深煎り(11~13分)

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家庭でも手軽にローストができる焙煎器も販売されています。ネットで調べると、いろいろな種類が出てきます。写真は「焙煎器ホームコーヒーロースターCR-100」。価格は2万円程度です。

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家庭でできるひと工夫

いつものコーヒーに、ちょっとした手間や工夫を加えることで、家庭でも美味しいコーヒーを飲むことができます。そんなアイデアをいくつかご紹介しましょう。

まず豆選びですが、産地によって味わいが違います。例えば、ブルーマウンテンは酸味、苦味、甘味、香りのバランスがほど良く、キリマンジャロは甘い酸味と香りが特徴です。自分好みの新しい豆を発見したり、オリジナルブレンドを作ってみるのも楽しいものです。

一般的なドリップ式コーヒーも、抽出により味わいが深まります。93~95度のお湯を、中挽きのコーヒーの粉全体にいきわたるくらいに注ぎ、20秒程度蒸らした後、粉の中央に五百円玉大の円を描くように、ポットの高さを変えずに注ぎます。コクと旨味が抽出されます

 

溢れる香りがたまらないエスプレッソ

ドリップ式とはまったく別の飲み物とも言えるコーヒーが"エスプレッソコーヒー"です。深煎りの豆を細かく挽き、蒸気の圧力で一気に抽出するため、旨味が凝縮され、豊かな香りが口いっぱいに広がっていくのが特徴です。最近では家庭用エスプレッソマシンが市販され、誰でも簡単に作れるようになりました。家事が一段落したくつろぎの午後などに、マシンが奏でるシュワーッという蒸気音やそこから広がる芳醇な香りを、一人静かに楽しむのもいいかもしれません。部屋がまるで素敵なカフェになったような気がしてきます。

味わいが濃くコーヒー本来の味が損なわれないエスプレッソコーヒーは、トッピングを自由に楽しむこともできます。ミルク、ジャム、シナモン、意外に思われるかもしれませんが、胡麻ペーストや豆乳などもよく合います。

少量のエスプレッソに、いちごソースと練乳を注いだ甘いミルキーカフェや、ミルクセーキをミックスしたコーヒーミルクセーキはお子様に喜ばれます。また、ラム酒やブランデーなどを足すことで、香りと甘さと苦味の絶妙なハーモニーが楽しめるコーヒーカクテルは、大人の時間を楽しく演出してくれます。

コーヒーはお洒落で優しい時間を運んできます。心をゆっくりほどいてくれる、香りに充たされたひとときを楽しんでみませんか

 

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マーマレードジャムにエスプレッソ、フォームドミルクを入れ、チョコレートで飾りつけをします。

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エスプレッソにスチームドミルクをたっぷりと注げばでき上がり。

 

 

 

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アイスコーヒーに氷、アイスクリームを入れてミキサーにかけ、ホイップクリームとキャラメルソースで仕上げます。

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練乳の甘みとエスプレッソの苦みを活かしたコーヒー。仕上げに黒糖をふりまきます。

  

 

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エスプレッソにホワイトラム、ヘーゼルナッツシロップ、氷をシェーカーに入れ急冷し、グラスに注ぎます。

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秋の夜長、庭のテラスでお気に入りのコーヒーやコーヒーカクテルを飲みながら、静かな時間を過ごしてみませんか。

コーヒーをより楽しむグッズたち

コーヒーの美味しさをさらに高めていくための機能性とインテリアになるようなモダンな色やデザイン。こんな道具があると、コーヒーの時間がもっと好きになってくるかもしれません。こだわりのコーヒー器具をいくつかご紹介しましょう

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キメ細かなクレマ(泡)のあるエスプレッソを、一度に2杯分作ります。ノズルとウォータータンクのブルーが印象的です。

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シンプルでスタイリッシュなコーヒーミル。挽き具合を調整することでお好みの粗さにすることができます。

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マグカップとコーヒーメーカーを一体型にデザインした、オブジェのようなコーヒーメーカー。

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ドリップ式におすすめのポットです。繊細なS字ラインの注ぎ口からでるお湯は、ゆっくりとコーヒーのおいしさを抽出します。

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焙煎の醍醐味が自宅で手軽に楽しめます。豆を煎っていくと、豆皮がはがれ、やがて芳醇な香りがしてきます。

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保温・保冷性を高める中空構造のグラス。飲み物が浮いたように見える浮遊感が魅力です。

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エスプレッソコーヒーにフォームドミルク(エスプレッソマシンのスチームノズルやミルクホイッパーできめ細かく泡立てたミルク)を注ぎながら、様々な模様を作っていく。それが「ラテアート」です。作るポイントは、ビロードのようになめらかなミルクと注ぎ方。コーヒーにミルクを勢いよく注ぐと、表面に丸い模様が出てきますので、ゆっくりとミルクをカップのフチへ動かしていくとハートの形になります。他にも注ぎ方と仕上げ方で、葉っぱや動物、人の顔などが作れます。

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世界各国のコーヒーメーカー

コーヒーメーカーは一日に数回、毎日使うものですので、おいしいコーヒーができることはもちろん、使いやすさ、そしてデザインにもこだわりたいもの。ここでは各国のスタイリッシュなコーヒーメーカーを紹介します

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ボトルの取っ手に天然木を使用した、アマダナのコーヒーメーカー「MC-113」(価格:1万8,900円)。ステンレス製真空2重ボトルで温度をキープし、コーヒーが煮詰まりません。またステンレス製ドリッパーにより、香り高いコーヒーと経済性を両立。

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デロンギの保温ポット付コーヒーメーカー「CM336」(価格:2万4,800円)。独特の斬新で美しいデザインで人気のデロンギのコーヒーメーカー。抽出したコーヒーをそのままステンレス製の保温ポット(二重真空保温式)で保温するので煮詰まりません。

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フィリップスのステンレスサーモコーヒーメーカー「HD7634_22」(価格:1万8,000円程度)。水とコーヒー粉のバランスをコーヒーメーカー前面のバランスインジケーターで確認でき、スプーンでの計量が不要。またテイストセレクター機能により、予め設定した好みの濃さでコーヒーを抽出できます。

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{小見出し:ライフスタイル}

1908年、メリタ・ベンツというドイツの婦人が「最愛の夫にもっとおいしいコーヒーを」という深い愛情から、ろ紙でこしてコーヒーを抽出する"ペーパードリップシステム"が誕生。そんな愛情深い歴史を持つメーカー、メリタのコーヒーステーション プロ「JCM CM-1242」(価格:1万6,800円)。

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{小見出し:ライフスタイル}

1908年、メリタ・ベンツというドイツの婦人が「最愛の夫にもっとおいしいコーヒーを」という深い愛情から、ろ紙でこしてコーヒーを抽出する"ペーパードリップシステム"が誕生。そんな愛情深い歴史を持つメーカー、メリタのコーヒーステーション プロ「JCM CM-1242」(価格:1万6,800円)。

 

 

 

 

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{小見出し:ライフスタイル}

ノルウェーでのシェアNo.1家電メーカー、ウィルファのBurgundy-RED コーヒーメーカー「CJ-628 」(価格:1万5,000円)。スカンジナビアンスタイルを取り入れたシンプルでスタイリッシュなデザインが特徴。

コーヒーは、突き詰めていくととても奥が深く、知れば知るほど楽しくなります。コーヒーをより楽しめる、コーヒーに関する書籍を紹介します。

{本の紹介}{見出し:ライフスタイル本の紹介}

ジャパンバリスタチャンピオンシップ2006優勝の女性トップバリスタが、おいしいコーヒーやエスプレッソを淹れるために必要な豆の特徴や焙煎、挽き方、抽出器具の使い方や抽出方法を解説。また淹れ方はDVDにより動画でも見られるため、同じように淹れるだけでおいしいコーヒー、エスプレッソが楽しめます。アレンジレシピ100種類も掲載し、ラテアートの描き方も紹介。わかりやすく初心者にも最適の1冊。

{本の紹介}

スタジオタッククリエイティブ
小池美枝子(著)
価格:2,300円+税

{本の紹介}{見出し:ライフスタイル本の紹介}

好みの豆の見つけ方から、おいしい珈琲の淹れ方、抽出方法、アレンジ珈琲、珈琲ブレイクのお菓子と、実にバランスよく、さまざまな珈琲の楽しみ方をカラー写真を交えて紹介しています。文庫本サイズの小さな本で、常に携帯していつでも気軽に読みすすめられます。「珈琲のパワー」などをテーマとしたコラムも一読の価値あり。

{本の紹介}

成美堂出版
田口護(監修)
定価:590円+税

{本の紹介}{見出し:ライフスタイル本の紹介}

2001年、03年日本バリスタチャンピオンの著者が、豆の煎り方、ブレンドのポイント、豆の挽き方、エスプレッソマシンの選び方と設定、抽出のコツ、牛乳のスチーム方法など、エスプレッソを淹れるために必要な技術を詳しく解説した、日本初の本格的エスプレッソ技術書。エスプレッソにまつわるすべてを、見ているだけでも香り漂うカラー写真で初心者向けに解説。アレンジドリンク52品もオールカラーで紹介。

 {本の紹介}

柴田書店
門脇洋之(著)
定価:2,400円+税