スローフードで広げる食の楽しみ

食欲の秋。食べ物がおいしい季節です。秋に限らす、旬の味には季節を楽しむ喜びがあります。そして家族で囲む食卓には笑顔が生まれます。特別なことはしなくても、毎日の「食」をもっと楽しめる方法をご紹介します。

 

おいしく食べて「食」を豊に

ここ数年で「スローフード」という言葉をよく聞くようになりました。スローフードとは、今から20年ほど前に北イタリアの小さな町"ブラ"から始まった、「食」を見直そうという運動です。

・食材や食品を守る
・味の教育を進める
・生産者を支える

を指針として、その考え方は「食」の環境や文化にまでおよんでいます。

食材の品質や生産地をチェックすることも大切ですが、おいしい「もの」を求めるのではなく、おいしく食べる「こと」が、「食」の豊かさを広げていくことにつながります。

{コラムキャッチ}:ライフスタイル

食卓は、料理にあった器の色や形を考えて演出してみましょう。花やランチョンマット、クッションも魅力的な食卓をつくるポイントになります。

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今回の特集で「スローフード」について教えていただいた、黒川陽子さん。

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<プロフィール>

料理研究家。ダイニングコーディネーター。食材の力を引き出す料理教室「KY-キッチン」を主宰。「野菜たっぷりレシピ」(河出書房新社)など著書多数。

 

 

わが家で「食」を楽しむ

「料理を作る時間がない」「作り方がわからない」「食事時間がバラバラ」など、現代の忙しい生活の中では、ゆっくり楽しむ時間をもつことは、なかなか難しいことのようです。でも「食」は本来、暮らしの中の喜びであり楽しみの1つです。週末には家族一緒に食事の時間を過ごしてみましょう。食卓は体だけではなく、心を育てる場所でもあるのです。

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お子さんやご主人と一緒に料理を作ったり、テーブルセットを手伝ってもらったり、家族とのコミュニケーションもスローフードの楽しみのひとつです

 

わが家で「食」を楽しむ

スローフードの3つの考え方
「食」をもっと楽しむために、そして子どもたちに「食」の大切さを伝えていくために、スローフードの考え方を取り入れた3つの提案をいたします。

1つ目は、『食材を活かす』ことです。まずは、旬の食材を使うことをおすすめします。ほかの時期にはない食材本来の味わいと香りが楽しめると同時に、栄養価も高く、まさに季節を食べる喜びを感じるはずです。

なお地元の食材を使うことも大切です。地域の気候風土になじんだ食材と代々受け継がれてきた調理方法から生まれる味は、子どもたちの心に故郷の味として残っていくでしょう。

2つ目は、『家族で作る』ことです。最近は親が料理を作ることが少なくなり、食材や調理法法を知らない子どもが増えています。まずはお子様と一緒に買い物に出かけることから始めてください。食材について話す機会になるうえ、一緒に料理を作るきっかけにもなるはずです。週末はぜひ家族一緒に料理を楽しんでください。

家族で役割を決め、全員が作ることに参加すれば、食べることへの期待も膨らんでいきます。おすすめの料理にピザがあります。ピザ生地を手でこねたり、トッピングの具を1つひとつ乗せていく作業は、工作のおもしろさに似ています。家族の会話もきっとはずむことでしょう。庭で野菜を育て、収穫し、料理に使うことができれば、わが家の理想的なスローフードができあがります。

食卓を彩る

3つ目のポイントとなるキッチンの『空間演出』も、料理を楽しむことにつながります。たとえば窓辺に小さな鉢植えを1つ置くだけで、気持が和らぐものです。ハーブの寄せ植えにすれば、料理の飾りつけとして活用できます。

またパスタやオリーブオイル、ビネガーなどをビンに入れて飾れば、見た目も美しく、キッチンの楽しいアクセントになります。

使いやすく心地よいキッチンは、レシピを広げる空間だけでなく、ゆったり料理する心のゆとりを与えてくれます。あなたらしいちょっとした工夫でキッチン環境をもっと快適なものにしませんか。

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サラダや煮物などは白い2枚の器を使って出してみましょう。受け皿があると上品な演出になります。

 

 

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キッチンバサミならお子さまにも安心して手伝いを頼めます。会話をしながら調理を楽しみましょう。

 

 

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ハーブや葉もの野菜をコップやグラスに入れて飾り、お好みで料理に加えるのも楽しいものです。

 

 

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週末など家族で食事を楽しむ時は、季節や料理にあったランチョンマットを敷いてみましょう。

 

 

秋の味覚「キノコとポテトのピザ」

秋の味覚の代表的なキノコとじゃがいもを使った、香り豊かなピザをご紹介します。週末に、家族で作って食べる、ホームメイドのピザパーティはいかがですか。

■材料(22cm:1枚分)

【ピザ生地】
(A)薄力粉:100g、強力粉:100g、打ち粉(強力粉):適量、生イースト:10g、水:100cc
(B)塩:4g、オリーブオイル:小さじ1と1/2

【具】
ジャガイモ:中2個
ニンジン:10g
タマネギ:中1/4個
酢:大さじ1
塩:小さじ1
黒コショウ:適量
マヨネーズ:大さじ1
キノコ(マイタケやしめじ):適量
ピザ用チーズ:適量

ピザは生地作りがポイントです。なかなか上手く作れないという方には、通信販売で購入できる「冷凍のピザ玉」があります。自然解凍すると約2倍に膨らみますので、丸くのばし、空気を抜いて形をととのえるだけ。この生地を使って、イタリアの代表的なパン「フォカッチャ」やインドのパン「ナン」も作れます。またカレー粉を混ぜてカレーパンにしたり、トッピングを工夫すればオリジナルのパンを楽しむことができます。

「冷凍ピザ玉セット」は「湘南エル・ピザ」にて、インターネットでお申し込みいただけます。

〒252-0052神奈川県茅ヶ崎市東海岸北2-5-10

TEL:0467-58-7346 FAX:0467-58-7347

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できそうなところはお子さんに

 

材料の用意ができたら、いよいよ実際に作ってみましょう。まずはピザ生地を作り、次に具を作ったら、生地の上に具をのせて、あとは焼くだけです。生地をこねたり、茹でた具をつぶしたり、危なくない作業は、お子さんにお願いしてもいいですね。

ボウルに(A:薄力粉:100g、強力粉:100g、打ち粉(強力粉):適量、生イースト:10g、水:100cc)を入れ、次に(B:塩:4g、オリーブオイル:小さじ1と1/2)を加え、全体を混ぜ合わせてひとつの形にまとめ、打ち粉をした台の上でしっかりこねる。

表面が滑らかになったら、丸くまとめ、室温で約1時間、2倍に膨らむまで発酵させる(1次発酵)。

打ち粉をした台に乗せ、手のひらで押して空気を抜き、直径22cm位で均一の厚さにのばす。油を塗った鉄板の上に約30分ほど置く(2次発酵)。

倍の厚さになったら全体を軽く押してもう一度、空気を抜く。

ジャガイモを竹串が通るまで茹でる。ニンジン、タマネギを薄切りにし、塩をふってしんなりさせ、水洗いする。

茹であがったジャガイモをボウルの中で軽くつぶし、酢と塩を適量まぶしたら、ニンジン、タマネギを入れ、マヨネーズ、コショウ、塩で味をつける。

生地にオリーブオイルを塗り、6のポテトと適当な大きさに切ったキノコ、ピザ用チーズをのせ、210度のオーブンで15分程焼く。

 

「スローフード」そして家族で作るおすすめ料理「ピッツァ」に関する書籍をご紹介。楽しく作っておいしく食べて、家族での楽しいひとときを楽しんでください。

 

{本の紹介}{見出し:ライフスタイル本の紹介}

シンプルなものから本格的なプロの味まで、5人のシェフによるピッツァ、サラダ、パスタのアイデアレシピ集。ご家族による手作りのピッツァの参考に最適な一冊。休日は本を見ながら家族で楽しいクッキングを楽しめそう。  

{本の紹介}

ネコ・パブリッシング
片岡護、日高良実、渡辺陽一、本多哲也、黒川 陽子(著)
880円(税込)

{本の紹介}{見出し:ライフスタイル本の紹介}

おいしく、彩り豊かで、健康にいい"スローフード"を、簡単に食卓に取り入れる簡単レシピ集。イタリア、スペイン、南仏、ポルトガル、ギリシャなどの地中海諸国の料理をベースに、スローフード研究の第一人者で、スローライフの実践家、河合勝幸氏がレシピを作成。スーパーで手に入る素材を使い、10分~30分以内に作れる健康によい地中海料理が満載です。また地中海料理の健康効果、ヘルシースローフードの考え方も詳しく解説。 

{本の紹介}

日経BP社
河合 勝幸(著)
1470円(税込) 

{本の紹介}{見出し:ライフスタイル本の紹介}

スローフードとは縁遠いと思われがちな東京でも、探してみれば塩、醤油、酢など、こだわりの基本調味料を作り出す生産者や、全国から秀逸の食材を探し出してくる小売店、さらには味わい深い料理が感動をよぶレストランなど素晴らしいスポットが数多くある。東京圏を中心に構成され、どなたでも比較的簡単に実践できる、スローフード事始め。

{本の紹介}

木楽舎
ニッポン東京スローフード協会(編集) 金丸 弘美(著)
1680円(税込)

{本の紹介}{見出し:ライフスタイル本の紹介}

イタリアの家庭料理のなかで、パスタはその家庭の"おふくろの味"。小麦粉と卵だけのおいしい手打ちパスタと、フライパンで作れる簡単ピッツァのレシピを多数、美しい写真入りで紹介。 ピッツァはフライパンで作れるお手軽さ、しかし本格的な味が嬉しい。

{本の紹介}

主婦と生活社
パンツェッタ貴久子(著)
1575円(税込)