やすらぎのシェイドランプ

やわらかく優しい"明かり"が楽しめる"シェイドランプ"。今までの生活空間を手軽に、しかし劇的に変えるということで、最近注目されています。シェイドランプで居心地のよい生活空間を演出してみましょう。

{小見出し:ライフスタイル}

暮らしを快適にする大きな要素として"明かり"があります。さまざまな照明を組み合わせた"明かり"の計画は、部屋の使い勝手や居心地のよさをも左右します。

日本人は欧米人に比べて、「明かりを自分でコーディネイトするのは難しい」と考えている方が多いようです。それは、高度経済成長期のほとんどの家庭が、天井に白く明るい蛍光灯を付け、部屋全体を照らすことを好んだためといわれています。この照明方法は機能的ですが、なんだか落ち着かないようにも感じます。

居心地がよいと感じる部屋は、必ずといっていいほど、バランスよく照明が配置されています。天井に取り付ける「シーリングライト」や「ダウンライト」だけではなく、壁に取り付ける「ブランケット」などの間接照明、そして卓上や棚の上に置く「シェイドランプ」が上手に組み合わされているからです。上からの光だけではなく、横からの"明かり"も考えることが、居心地のよい、自分らしい暮らしを創造する第一歩になるはずです。

 

{写真}:ライフスタイル

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日本人は部屋全体を均一に明るくすることが好きなようですが、心休まる落ち着いたお部屋にするには、さまざまな"明かり"を上手に使うことが大切です。

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ベッドサイドに置かれたシェイドランプは、就寝前のリラックスできる雰囲気づくり、読書に欠かせません。

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乳白色のカバーが付いた、天井直付けタイプの照明器具です。シンプルなデザインでどのような部屋にも調和しやすく、15畳くらいまでの広さを一灯で明るくでき、日本ではこれ一灯のみの部屋が多々あります。一灯で明るくできるため経済的なメリットがありますが、場所によっては十分な明るさが得られないという欠点もあります。しかしこのことを認識している生活者は、あまり多くありません。

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天井に埋め込むタイプの小型照明器具です。小さな光源を使用して下方を照らすため、小さな空間用として廊下や玄関などでよく見かけます。リビングなどの広い空間で使用することも可能ですが、リビングなどではちょっとした補助照明として、また間接照明と組み合わせて雰囲気を演出するために用いられます。なおダウンライトには大別すると、「ベースダウンライト」「ユニバーサルダウンライト」「ウォールウォッシャー」の3種類があります。

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空間を均一に明るくするために用いられる、照射方向が固定されたタイプのダウンライトです

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照射方向を変えることができ、オブジェやお花などへのアクセント光として用いられます

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壁際ぎりぎりに設置したダウンライトで、壁に滝のように光を流すように照らします

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壁や天井に光が当たって壁面にほのかな明かりをもたらす間接照明です。

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横からの"明かり"でもっとも身近な照明器具が「シェイドランプ」です。欧米の住宅やホテルなどでは、上手にシェイドランプを使って、横からのやわらかい光を演出し、空間に落ち着きを与えています。日本ではインテリアのひとつとして装飾的な使い方をされることが多いのですが、シンプルなデザインを選ぶことで、日常の"明かり"として活用することができます。

では、その魅力はどこにあるのでしょうか。たとえば、お気に入りのソファーでの読書をイメージしてください。そのソファー脇から手元を照らすやさしい光は、くつろぎの一時にいっそうの深みを加えてくれます。部屋に設置された"明かり"に生活を合わせるのではなく、生活シーンごとの人の動きに照明を合わせ、自由にレイアウトできるのがシェイドランプです。

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ホテルなどには必ず置かれているシェイドランプは、やさしい明かりで空間に落ち着きを与えています。

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お気に入りのイスでの読書をより一層楽しいものに
してくれるシェイドランプによる"明かり"の演出。
お気に入りはイスだけではなく、
イスとシェイドランプの組み合わせになるはずです。
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シェイドランプを用いて居心地のよい空間を作る方法を、具体的に考えてみましょう。まずは、天井の照明を付けずに、シェイドランプをひとつ置いた暮らしを試してみてください。そして、暮らしの中で必要だと感じる照明を加えていきます。たとえば全体が少し暗いと感じたら、置き型の間接照明を壁際に配置して、部屋全体をやわらかく照らします。部屋の隅が暗ければ、小さなシェイドランプを置いてみましょう。このように、徐々に照明を増やしていくことで、居心地のよさを感じる部屋に近づけていきます。

部屋は時間をかけて作り込んでいくと、いっそう愛着もわいてきます。「こんな照明があったら、もっと気持ちよくなるのでは?」とイメージし、自分の趣味や部屋の雰囲気に合うかを検討していきます。初めから完璧に作ることは難しいものですから、何度も、失敗を恐れずにやってみることが必要です。自分なりの工夫を加えて、居心地のよい、自分らしい部屋を作りあげてください。

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ホテルなどには必ず置かれているシェイドランプは、やさしい明かりで空間に落ち着きを与えています。

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写真提供:坂川事務所

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お気に入りのイスでの読書をより一層楽しいものに
してくれるシェイドランプによる"明かり"の演出。
お気に入りはイスだけではなく、
イスとシェイドランプの組み合わせになるはずです。

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写真提供:坂川事務所

ここでは「リビング」「ダイニング」「寝室」それぞれの部屋に合わせた、シェイドランプの上手な使い方を見てみましょう。使用目的に合わせた"明かり"を上手に配置することで、お部屋を作り込んでいきます。

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多目的に使用されるリビングは、照明をバランスよく配置する必要があります。まずメインとなる照明として、大きめのシェイドランプを壁際に置きます。空間が広い場合は、上向きの間接照明を組み合わせましょう。さらに、スポットライトやブランケットなどで壁や天井を照らすと、陰影がつき、空間に立体感が生まれます。最後に生活シーンに合わせて、テーブル置きやスタンドタイプのシェイドランプを加えることで、居心地のよいリビングに仕上がります。

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ダイニングは、食事の場として和やかな雰囲気を作ります。部屋全体の照明を抑えぎみにし、ペンダント型のシェイドランプで食卓を明るくします。向かい合う人の視線をさえぎらず、光源が目に入らないことを基本とし、テーブル面の上、60~80cmを目安にするとよいでしょう。食べ物をおいしく見せ、食欲を増進させる効果のある白熱灯かハロゲン灯を使用します。最後に、テーブルから少し離れた空間にシェイドランプを置き、明るさを足しましょう。

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シェイドランプには、基本的に6つのタイプがあり、インテリアとして楽しむこともできます。シェイドと本体を別々に購入し、自分が好きなものをつくることもできます。

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筒を上下で切ったような円筒形。モダンな部屋に合う

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四角柱を上下に長方形に切ったような形。モダンな部屋に合う、流行の形
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上下の幅が深い三角形。オーソドックスな形
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上下の幅が浅い三角形。光が最も下方へ広がる
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横から見ると三角形で、切り口は六角形。ヨーロッパの田園風な雰囲気
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裾広がりで下部がスカートのひだのような形。クラシックテイストの部屋に合う
協力:TIME & STYLE EXISTENCE
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寝室はリラックスできる雰囲気づくりが大切です。その上で、くつろぐ、寝る、本を読む、身支度をするといった、生活シーンに合わせた"明かり"を加えていきましょう。明るさの基調となる照明には、寝室全体をやわらかに照らし、光量が調節できる間接照明がおすすめです。ランプの色は落ち着きのある蛍光灯電球色や白熱灯を選びます。またベッドサイドには、シェイドランプを置き、読書などくつろぎの一時に必要な明るさを確保しましょう。
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今回の特集にて、シェイドランプを中心とした住まいの「明かり」について教えてくれた、『「光の家具」照明』の著者でもある坂川栄治さん。

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1952年、北海道生まれ。デザイナー、装丁家、文章家、写真家。書籍の装丁を手がける一方、広告、映画、空間デザインなどの幅広いアート・ディレクションを行う。93年に講談社出版文化賞ブックデザイン賞受賞。著書に『「光の家具」照明』(TOTO出版)『写真生活』(晶文社)『遠別少年』(リトル・ドッグ・プレス)がある。

"明かり"自体を楽しんだり、また"明かり"によってお部屋をゆったりとしたくつろぎの空間に
演出したり、さまざまな"明かり"の使い方を提案している書籍を紹介します。

{本の紹介}{見出し:ライフスタイル本の紹介}

著者の坂川氏は書籍の装丁を手がけるデザイナーだが、写真家や文章家としても活躍している。本書は、そんな多彩な才能をもつ著者が、「光や明かりを楽しむ」ことをテーマに書いた"明かり"の入門書。住居にとって照明とは何か、家具としての照明やシェイドランプはどうあるべきか、豊富な実例や写真とともに教えてくれる。

{本の紹介}

坂川栄治(著)
TOTO出版
定価:本体1,575円+税

{本の紹介}{見出し:ライフスタイル本の紹介}

「あかりのレシピ」という題名からもわかるとおり、本書は季節ごとの明かりを楽しむための、"明かり"の作り方を紹介した本。風船の明かり、枝の明かり、キャベツライト、着せ替えライト、旬の明かり、葉っぱの明かりなど、和紙や木の枝、竹、葉などの素材を使った、手作りの明かりの作成方法が美しい写真とともに紹介されている。

{本の紹介}

橋田裕司(著)
マール社
定価:本体1,680円+税

{本の紹介}{見出し:ライフスタイル本の紹介}

住まいの印象をもっとも劇的に変化させるには、照明を変えるのが近道。特に、いつもの天井の照明を消して和紙のランプシェードを灯せば、見慣れた部屋がおしゃれな空間に変わってしまう。本書は、そんな和紙のランプシェードを手作りするためのすべてを教えてくれる本。作業工程が詳細な写真と文章で説明されていて役に立つ。

{本の紹介}

小林順子(著)
雄鶏社
定価:本体1,470円+税