介護保険サービスの医療費控除

介護保険サービスのなかには、確定申告の際に医療費控除の対象となるものがあります。該当するサービスを利用している人は、忘れずに申告を行いましょう。

医療費控除の対象となる介護保険の居宅サービス

介護保険サービスのなかには、確定申告の際に医療費控除の対象となるものがあります。該当するサービスを利用している人は、忘れずに申告を行いましょう。

居宅で受ける介護サービスは、医療系と福祉系に大きく区分されます。医療系は、介護サービス利用料の1割自己負担分と食費、滞在にかかる自己負担分が控除の対象です。さらに、介護保険の支給限度額を超えて利用した全額自己負担分(特別な食事や居室にかかる費用は除く)も控除の対象になります。

医療費控除の対象となる介護保険の居宅サービスは、次の通りです。

1.サービスの対価が医療費控除の対象となる居宅サービス......サービスの対価(介護費、食費、居住費)として支払った額すべてが控除対象となる。限度額を超えた利用者負担額も対象

  • 訪問看護
  • 介護予防訪問看護
  • 訪問リハビリテーション
  • 介護予防訪問リハビリテーション
  • 居宅療養管理指導
  • 介護予防居宅療養管理指導
  • 通所リハビリテーション
  • 介護予防通所リハビリテーション
  • 短期入所療養介護
  • 介護予防短期入所療養介護
  • 定期巡回・随時対応型訪問介護看護 ※一体型事業所で訪問看護を利用する場合のみ
  • 複合型サービス ※上記の居宅サービスを含む組み合わせによって提供されるもののみ。生活援助中心型の訪問介護の部分を除く

2.1の居宅サービスと併せて利用する場合のみ医療費控除の対象となる居宅サービス......利用限度額内の介護費として支払った額のみが控除対象となる

  • 訪問介護 ※生活援助(調理、洗濯、掃除などの家事の援助)中心型を除く
  • 夜間対応型訪問介護
  • 介護予防訪問介護
  • 訪問入浴介護
  • 介護予防訪問入浴介護
  • 通所介護
  • 認知症対応型通所介護
  • 小規模多機能型居宅介護
  • 介護予防通所介護
  • 介護予防認知症対応型通所介護
  • 介護予防小規模多機能型居宅介護
  • 短期入所生活介護
  • 介護予防短期入所生活介護
  • 定期巡回・随時対応型訪問介護看護 ※一体型事業所で訪問看護を利用しない場合、および連携型事業所に限る
  • 複合型サービス ※1の「サービスの対価が医療費控除の対象となる居宅サービス」を含まない組み合わせによって提供されるもののみ。生活援助中心型の訪問介護の部分を除く  

医療費控除の対象となる介護保険の施設サービス

医療費控除の対象となる介護保険の施設サービスは、次の通りです。

1.福祉系の介護施設......施設サービスの対価(介護費、食費および居住費)として支払った額の1/2に相当する金額が控除対象となる

  • 指定介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
  • 地域密着型介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)

2.医療系の介護施設......施設サービスの対価(介護費、食費および居住費)として支払った額すべてが控除対象となる

  • 介護老人保健施設(老健)
  • 指定介護療養型医療施設(療養病床)

医療費控除の対象とならない介護保険のサービス

介護保険サービスのなかには、医療費控除の対象とならないものもあります。確定申告の際には気をつけましょう。

  • 訪問介護 ※生活援助中心型
  • 特定施設入居者生活介護
  • 地域密着型特定施設入居者生活介護
  • 福祉用具貸与
  • 特定福祉用具販売
  • 住宅改修費の支給
  • 介護老人福祉施設サービス(特別養護老人ホーム) ※旧措置入所者の場合
  • 認知症対応型共同生活介護(グループホーム)

確定申告の際の注意点

確定申告の際には、次のような点に注意しましょう。

1.領収書を忘れずに
確定申告の医療費控除を行う場合、対象となる領収書をすべて提出する必要があります。無くさないよう、大切にまとめて保管しておきましょう。

また、介護保険事業者が発行する領収書には「医療費控除対象額」が記載されているので、控除額を合計する際には必ずチェックしましょう。

2.交通費のなかにも、控除の対象となるものも
通所リハビリテーションや短期入所療養介護などを受けるため、介護老人保健施設や指定介護療養型医療施設に通うときに支払った交通費で、通常必要とされるものについては、医療費控除の対象となります。電車やバスなどの公共交通機関を利用した場合は領収書は不要ですが、タクシーを利用したときは領収書が必要です。

また、自家用車を使用した場合のガソリン代や駐車場代については控除の対象となりません。

3.おむつ代の控除も忘れずに
介護保険サービスではありませんが、おむつ代についても控除が受けられる場合があります。対象となるのは、傷病などで6カ月以上寝たきりで、医師からおむつの使用が必要と認められた人。該当する人は、一度主治医に相談してみましょう。

確定申告の際には、おむつ代の領収書と医師が発行するおむつ証明書(2年目以降は市区町村が発行する「おむつに係わる費用の医療費控除確認書」でも代用可能)を提出する必要があります。

4.親世帯の控除は、子世帯でも使える
親世帯の収入が年金のみで所得税をほとんど納めていないような場合、親世帯が確定申告の際に医療費控除を行ってもさほどメリットはありません。しかし子世帯が確定申告する際に、親世帯の分まで医療費控除を行うと、多くの還付金を受けることが可能となります。

医療費控除の対象となる条件は「生計を一にする親族」であることのみ。同居や扶養の有無は関係ありません。同居している場合は、基本的に「生計を一にする」ものとして扱われますし、同居していなくても定期的に仕送りを行っている場合は「生計を一にする」ものとして扱われます。

親世帯への仕送りを行っている人は、親世帯の分まで医療費控除を行ってみることをオススメします。