屋外だから楽しい! 世界の屋台・市場5選

アウトドアの屋台・市場グルメの楽しみ方

人々の活気に満ちた屋台街、土地の食材が並ぶ市場......。観光名所を周るのもよいけれど、地元の人のリアルな食生活をのぞける市場や屋台の楽しさも格別です。今回は数ある世界の屋台や市場のなかから、時節柄、青空の下または夜風に吹かれて食べられるアウトドアの屋台と市場を5つご紹介しましょう。

その前に、楽しむための注意点を3つだけ。まず、1つは現金を用意すること。とくにアジアでは支払いが現金でしかできない店も多く、また高額紙幣はおつりの用意がないこともあるので小銭の準備を忘れずに。2つめは衛生状態。レストランに比べるとどうしても劣る部分もあるので、胃腸の弱い人は火がよく通ったものを選ぶなど工夫を。そして最後はアウトドアな屋台や市場では気になる天気。こればかりは運ですし、なかには屋根付きの店もありますが、あらかじめチェックしておくと安心ですね。

それでは早速、世界各地の屋台や市場を巡る旅へでかけましょう。

ベトナム、ホーチミン。日が傾きはじめれば本格的な屋台タイムがスタート

毎日がお祭り!フナ広場の屋台村/モロッコ

夜になると芳ばしい香りと熱気が溢れるモロッコ屈指の屋台村、フナ広場

お祭り好きの人にイチオシなのが、モロッコのマラケシュに夜な夜な出現する屋台村。旧市街の中心にあるジャマ・エル・フナ広場(略してフナ広場)では、昼夜問わずお祭り騒ぎが繰り広げられています。昼間はオレンジジュースの屋台が軒を連ね、ヘビ使いや大道芸人、水売り、さらにはヘンナ書き(植物の一種で手などに模様を施してくれる)などもいて、おもに観光客で賑わっています。

昼はオレンジジュースの屋台が盛況

日が落ちて辺りが薄暗くなってくると、それと反比例するかのように屋台の明かりが灯りはじめ、食べ物の屋台が現れます。モロッコ名物のクスクスやブロシェット(串焼き)、タジン、魚のフライなどを供する店がズラリと並ぶ様は圧巻。そこかしこから立ち上る煙を見ていると、自然とお腹も空いてくるはず。

地元の人御用達の店の魚のフライ

屋台の数はかなり多く、また、観光客相手の呼び込みも激しいので、どれにしようか迷うこともしばしば。日本語のメニューを置く店もありますが、地元の人ばかりが集う店もあります。当たり前かもしれませんが、やはり地元の人に愛される店は腕も確か。みんな夜になると自然とこの広場に集まってきて、深夜1時近くまで食事や語らいを楽しんでいます。

屋台の多くは長テーブルの両サイドにイスを並べた合い席スタイル。イスラム教国なのでアルコールは出ませんが、広場に充満する独特の熱気に酔いしれる夜も楽しいものですよ。

<DATA>
■ジャマ・エル・フナ広場の屋台村
場所:Pl.Djemma el Fna
アクセス:新市街から歩いて20分ほど。鉄道駅からはバスも出ている
時間:店によるが6:00~翌1:00頃 

北欧の味覚が集合、港のマーケット広場/フィンランド 

食材から民芸品までバラエティに富んだ品が集まるマーケット広場

日本から一番近いヨーロッパ、フィンランドは映画『かもめ食堂』の舞台としてもおなじみ。料理は素朴ながら滋味あふれるテイストが持ち味です。そんなフィンランドの伝統的な食材に出会えるのが、ヘルシンキの南港に面した屋外マーケット、カウパットリ。

軒先に並んだカラフルな野菜や果物は見るだけでも興味深く、トナカイ肉などフィンランドならではの味覚が見つかることも。新鮮なサクランボやイチゴを買って現地で食べたり、屋台のテーブルに席をとって食事をとるのも楽しいですよ。メニューはサーモングリル、ニシン、 パエリアあたりが定番。とくにサーモンは脂がたっぷり、肉厚で食べ応えもあります。また、毎年10月に開催されるニシンづくしのフェアも好評です。

青空の下、新鮮な海の幸に舌鼓!

マーケット広場には工芸品なども並び、掘り出し物が見つかることも多々。まぶしい北欧の太陽の下で、ゆるりと散策してみてください。

<DATA>
■ヘルシンキのカウパットリ
場所:Kauppatori(マーケット広場)
アクセス:ヘルシンキ中央駅から徒歩10分
時間:月~土曜6:30~15:00(毎月第1日曜日はサンデーマーケット開催)

夜更かし派ならココ! 夜限定のサテ屋台 /シンガポール

10数軒の屋台はすべてサテ専門店。サテ好きなら食べ歩きも楽しいはず

屋台といえば一種アジアのお家芸。台湾、タイ、マレーシア、ベトナム、シンガポールなど、多くの国で庶民の台所的存在です。

多彩な味を一度に楽しめるのは屋台街の大きな魅力ですが、ときにはひとつのメニューにとことんこだわってみるのも面白いのでは? そこで今回ご紹介したいシンガポールのラオパサ・サテストールは、サテ専門の屋台街。サテとは様々な肉を串にさして焼いたもので、いわば日本の焼き鳥。甘辛のピーナッツソースに絡めていただきます。

夜風に吹かれながら食べるといっそう美味しく感じられる!?

ラオパサ・サテストールは夜限定。場所は観光客にも人気のラオパサフェスティバルマーケットのすぐ横。19時を過ぎると、ブーンタットストリート(Boon Tat St.)が車通行止めになり、サテ屋台が商売を始めます。午前3時頃まで営業しているので、夜遊びして小腹がすいたときにも重宝しそうですね。

オーダーは10本単位が基本(6シンガポールドル~)。牛、豚、鶏、マトンなどから好みの肉をミックスして頼めます。ちなみに一番人気はアヒル。さっぱりしていてクセがないので、シンガポーリアンの大好物だそうですが、遅い時間には売り切れることもあるのでご注意を。

<DATA>
■ラオパサ・サテストール
場所:Boon Tat St.
アクセス:MRTラッフルズ・プレイス駅から徒歩7分。ロビンソンロードを南下
時間:店によるが19:00~翌3:00頃 

味の世界一周、ポートランドのフードカード/アメリカ

昼時には近隣のオフィスに勤める人がランチを求めて行列をつくる

ハンバーガーやホットドッグなど手頃な屋台グルメの宝庫、アメリカ。そんなアメリカのなかでも一風変わった屋台街がオレゴン州ポートランドにありました。

ちなみにポートランドは地ビールも有名で、郊外にはオレゴンワインのワイナリーも点在。人口ひとりあたりのレストランの数が全米一というグルメな街です。街の雰囲気はあえて例えるならアメリカとカナダとヨーロッパを足して3で割った感じ。コンパクトながらバラエティに富んだ地区が集まっています。

野菜もたっぷり入ったベトナムのフォー・ガー(6ドル)はまさに本場の味

そんなポートランドのお気軽フードとして人気が高いのがフードカート。フードカートとは、車を改造して屋台風にしたもので、ポートランドのあちこちで見かけます。店のジャンルは多岐にわたり、メキシコ、ベトナム、タイ、韓国など、世界各地のグルメが勢ぞろい。

どこも、5~6ドルあれば充分おなかいっぱいになるボリュームです。「本場の人が作るから美味しいんだよ」という地元の人の言葉に各店をのぞいてみれば、たしかに厨房をしきる人たちの顔ぶれも多彩。なかには和食の店もあり、かなり人気を集めていました。

メニューは写真付きでわかりやすい

ダウンタウンにはカートが集まるスポットがいくつかありますが、そのひとつがAlder St.とWashinton St.、9th Ave.と10thAve.SW に囲まれた一角。15店ほど集まっており、ほとんどの店がランチタイムのみの営業。付近には公園も多いので、食べる場所にも事欠きません。もうひとつ、5thアベニューとワシントンSt.が交差するあたりにも5~6軒の屋台があり、メキシカンなどは朝から営業しています。

 

<DATA>
■フードカートポートランド
場所:Alder St.とWashinton St.、9th Ave.と10th Ave. SW に囲まれた一角
地図:Map of Food Carts in Portland
時間:店によるが多くはランチタイム前後 

高級リゾートの救世主、パペーテ港のルロット/タヒチ

豪華なディナーも長く続くと、たまにはラフなスタイルな食事が恋しくなる!?

地上最後の楽園ともいわれる、南太平洋の島々。なかでも日本人にもポピュラーなリゾートといえばタヒチでしょう。ちなみにタヒチは国名ではなく、フランス領ポリネシアが正式名。首都パペーテがあるタヒチ島を含め、118もの島々からなっており、一般的にはこれらを総称してタヒチと呼んでいます。

タヒチは旅行代金も高いですが、現地の物価も高い! 観光客向けのものだけでなく、基本的にタヒチは物価が高いのです(スーパーに行くとわかります)。 

タヒチ島のマルシェ(市場)

もちろん、タヒチにまで行って、あまりにお金にうるさいのもスマートではありませんが、豪華ディナーが連夜続くとたまにはラフなスタイルの食事が恋しくなる人もいるはず。そんなときに心強い存在となるのが、タヒチ島のパペーテ港に毎晩出現するルロット。ルロットとは、車を改造し、荷台部分が調理スペースになった屋台です。  

昼のパペーテ港

店の数は20~30ほど。ジャンルはステーキ、ピザ、中華などが多く、クレープの店もあるのはフランス領らしいところ。また、多くの店では料理と一緒にフランスパンが出されますが、こちらも美味。味は本格的ながら価格はリーズナブルで、だいたい1皿1,000パシフィックフラン(約1,000円)前後。ただしアルコールを取り扱っていません。また、規模はぐっと小さくなりますが、パペーテ以外でも港近くに数台のルロットを見かけることがあります。

<DATA>
■パペーテ港のルロット
場所:パペーテ港、バイエテ広場
アクセス:パペーテ市内中心から徒歩圏内
時間:店によるが18:00~24:00ごろ  

執筆者:AllAbout「旅行」ガイド 古屋 江美子(ふるや えみこ)