窓辺の飾るカーテンやブラインドは色や柄で選ぶことが多いものですが、遮光、保温、遮蔽など、さまざまな機能面での考慮も大切です。窓辺を快適に美しく演出するウインドウトリートメントについて紹介します。
機能、装飾を考慮した、窓辺の効果的な演出
"ウインドウトリートメント"とは、お部屋の用途や外部の環境に応じて、窓の機能と装飾に配慮した演出をほどこすことです。
その機能には、調光、通風、遮光、断熱、防音および外からの視線を遮るなど、快適な住まいに欠かせない重要な要素を含んでいます。また、インテリアの一部としての装飾性も重要です。選ぶ色や柄によってお部屋全体の雰囲気は大きく変わります。
機能と装飾が調和したウィンドウトリートメントは、住む人に心地よい生活を提供するとともに、家の外観として、住まう人のセンスをさりげなく表現する役割を果たします。
窓辺の演出といえばカーテンが一般的ですが、最近では住まいの多様化に伴い、ブラインドやシェードなど、さまざまなタイプが用いられるようになっています。
二級建築士、インテリアコーディネータ、R Design主宰
今回の特集にて「ウインドウトリートメント」について教えていただいた、松本恭子さん。
プロフィール
二級建築士、インテリアコーディネータ。R Design主宰。町田ひろ子アカデミー講師。イギリス留学時にインテリアの魅力に惹かれ、帰国後に色彩などについて学ぶ。雑誌やテレビ、セミナーなどでインテリアを中心としたライフスタイルの提案も行っている。
素材にはソフトとハードの2種類
ウインドウトリートメントは素材で分類すると、布地などのソフトタイプと、木やアルミ、布地の表面を固めたものなどのハードタイプに分かれます。
カーテンやシェードに代表されるソフトタイプは、色、柄、素材、仕立てのバリエーションが豊富です。ナチュラルな質感を持つので、お部屋全体がやわらかい雰囲気になります。
一方、ハードタイプのブラインドやロールスクリーンなどは、カーテンなどに比べ平面的で、すっきりとしたモダンな雰囲気が特長です。これまでオフィスなどで使われてきましたが、今では、色、柄も豊富になり、一般住宅にも多く取り入れられています。
カーテンなどは、気に入った布から自分でつくることもできます。風に揺れるなど自然を感じられます。
ハードタイプのブラインドやロールスクリーン(写真はロールスリーン)。金属や木など、さまざまな素材が使われています。
資料提供:立川ブラインド工業(株)
お部屋に合わせたウインドウトリートメント
初夏のさわやかな光と風を迎え入れ、窓辺を効果的に演出することで、毎日の暮らしはより快適なものになります。まずは、生活の中心となるリビングを考えてみましょう。
リビングの掃き出し窓には、左右開きのカーテンや縦型ブラインド、パネルスクリーンが適しています。開閉による調整で、調光や通風を微妙にコントロールでき、またベランダやテラスへの出入りも容易です。
ポピュラーなレースカーテンは、適度に明るさを採り入れながら直射日光を遮る役割を果たし、また、そよ風に揺れる様子は、さわやかで優しい印象をつくり出します。厚手のカーテンやブラインドの室内側に付けて、その穏やかな雰囲気を楽しんでみるのもよいでしょう。
寝室には、遮光性のあるカーテンが適しています。遮光カーテンには遮光の度合によって、完全遮光の1級から人の表情が分かる程度の3級まで分類されています。陽当たりやベットの位置、生活のリズムを考えて選んでください。
子ども部屋には、明るい印象を持つソフトタイプが適しています。お子さまが小さな場合は、汚れても目立ちにくいものや洗濯ができるものを選びましょう。成長に合わせて取り替えることも想定して選んでください。
キッチン、トイレなどはすっきりしたハードタイプの横型ブラインドやロールスクリーンがおすすめです。小さめの窓にもよく合い、上下開閉の操作も簡単で、通風をしながら外からの視線をさえぎり、調光も可能です。
カラーコーディネートも忘れずに
お部屋に合うカラーコーディネートも重要です。基本的には、床や壁、家具などのベースカラーに配慮して色を選びます。たとえば、さわやかな印象にしたければ、お部屋を広く見せる効果もある明るい寒色系でまとめます。あるいは、落ち着きのある空間を作りたい場合には少し濃いめの色でコーディネイトします。
これからの季節を爽やかに演出するにはパステルカラーもおすすめです。
窓辺をより快適に美しくすることは、暮らしに心地よさをもたらしてくれるとともに、リズムを与えてくれます。ウィンドウトリートメントで素敵な暮らしを楽しんでみましょう。
ゆとりのあるリビングには縦型ブラインドが合います。開閉のどちらでも縦のラインがすっきりし、モダンな演出ができます。
シェードとレースカーテンを組み合わせたリビング。上下の位置を調節することで程よい遮光と調光が実現できます。
資料提供:(株)川島織物セルコン
レースカーテンは柄や色のバリエーションが豊富です。光を受けると柄は美しく浮かび上がり、華やいだ雰囲気をつくります。
資料提供:(株)川島織物セルコン
ベージュ系のカーテンとベッドカバーの柄を揃えてコーディネート。落ち着いた雰囲気の寝室を演出します。
ロールスクリーンを設けた子ども部屋。ベッドカバーやまくらカバーと柄を合わせることで落ち着いた統一感が得られます。
初夏にふさわしい窓辺の演出
窓辺の演出ではカーテンが定番ですが、それ以外にもさまざまなタイプが存在します。季節に合ったウインドウトリートメントを考えて、お部屋の印象を変えてみませんか。
パリッと張りを効かせた布地をつり下げ、バトンを引いてスライド式に開閉する新しいスタイル。洗練されたシャープな雰囲気をつくります。間仕切りにも最適です。
資料提供:リリカラ(株)
短冊状のスラット(羽)を縦に配置し、すっきとした縦のラインが特長です。左右からの外光、視線をコントロールでき、特に大型窓にはおすすめです。
資料提供:立川ブラインド工業(株)
上下させる専用の装置に布地を取り付けたシェード。下げると生地の自然な風合いを残して垂れ下がります。布地は取り外しができるためお洗濯も簡単です。
資料提供:リリカラ(株)
ロール状に巻き込まれた布や表面加工した和紙などを、上下に開閉するフラットな窓掛け。小窓にも良く合い部屋の間仕切りにも使えて用途もさまざまです。
資料提供:リリカラ(株)
透明感のある薄手の布地を総称してレースカーテンと呼びます。ドレープとの二重吊りが一般的ですが、ブラインドやロールスクリーンとの組み合わせも素敵です。
資料提供:リリカラ(株)
スラット(羽)の角度を調節することで、視線を遮りながら採光と通風を確保することができます。スラット幅や色も豊富で、どのような部屋にもマッチします。
資料提供:立川ブラインド工業(株)
スクリーンを上げるとプリーツ状にたたみ込まれるスタイル。広げるとフラットですっきりしますが、プリーツ部分で優しい雰囲気が演出できます。小窓に最適です。
資料提供:リリカラ(株)
センスよく見せるには、カーテンとお部屋の小物の色合わせ
統一感のとれた落ち着きあるお部屋にするには、窓辺の装飾に合わせたコーディネートが大切なポイントになります。
たとえば、リビングならカーテンとクッションの色に、寝室ならベッドカバーなどと色を合わせます。また、ダイニングならテーブルクロスやランチョンマットなどと色をコーディネートすると、センスよくまとまります。
子ども部屋には、お子様が喜ぶ楽しげな色や柄の生地を少し多めに購入し、それを利用して手づくりのクッションやベッドカバーはいかがでしょう。楽しさがふくらむ空間になります。
室内にも窓辺の装飾に合わせたコーディネートを行うと、部屋全体に統一感を出すことができます。クッションやランチョンマットといった小物の色、柄を合わせるといいでしょう。
資料提供:リリカラ(株)