暮らしに活かす日本の炭

消臭、除湿、空気や水の浄化などの炭の効能はよく知られています。最近では炭の特徴を活かしたさまざまな商品や、お洒落なインテリアが人気を集めています。日本古来の炭の魅力と上手な付き合い方をご紹介します。

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人類と炭との出会いは石器時代にさかのぼり、確認された日本最古の炭は、愛媛県の鹿ノ川洞窟で発見された約1万年前のものだといわれています

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本格的な炭づくりの技術は、平安時代に中国から弘法大師により伝えられました。火持がよく、煙や炎を出さず、保管、持ち運びが容易な燃料炭づくりは、先端技術として高野山を拠点に紀伊半島全域に広がりました。最高級の炭で知られる「備長炭」は紀州藩の炭問屋、備中屋長左衛門にちなんだ名称で、江戸の町でも人気を集めたといいます

炭は消臭、除湿、空気や水の浄化を行います。またその漆黒の美しい姿は、そのままでもアート。実用も兼ねたお部屋のインテリアに最適です。

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銀座「掌(たなごころ)」店長
炭のアドバイザー

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今回の特集にて「炭」について教えていただいた、倉田雅代さん。

プロフィール
紀州備長炭のオブジェをはじめ生活に役立つ多彩な炭グッズを扱う銀座「掌」の店長として活躍。お客様をもてなすとともに炭を暮らしに活かすためのさまざまなアドバイスを行っている。

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炭とは、酸素が少ない状態で熱せられた木が水分やガスなどを放出し炭化したもので、単に木を焼いたものではありません。

炭には燃料としての用途のほか、さまざまな効能があります。炭の表面には微小な穴が無数にあり、1gの炭の表面積を総計するとテニスコート一面分ぐらいになります。この穴が空気中の有害物質や臭いを吸着し、それを微生物が分解して空気を浄化します。また、水道水のカルキを吸着して天然ミネラル分を放出、お水を美味しくしてくれます。

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さらに、湿気を吸収・放出する調湿効果があり、カビを防ぎ、夏には温度を下げ、冬には室温を保つ効果があります。そのため、金閣寺などの歴史的な建造物の床下に、貴重な文化財を保護する環境素材として敷かれ活用されています。

昔から、日本では炭を暮らしの中にとり入れる習慣がありました。例えば紀州一帯では、「置き炭」として炭を玄関に立てかけたり、お手洗いや床の間に置き、また茶道の世界では流派によって、今でもお正月に「かざり炭」と称して床の間を飾る風習があります。そして最近では、現代的なアレンジを加えて住まいのインテリアとして活かされる方が増えています。

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直径約4~6cm、長さ20~40cmの大きな長い棒状の洗浄炭は、大ぶりの器に入れれば室内インテリアをかねた置き炭に。また入浴用の炭としても使えます(写真は「上丸」)

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ガーデニングや植木の表面に飾るバーク材の代わり、また床下に敷く建築資材にもなります(写真は「粒炭(大)」)

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炭の中でも木炭の最高傑作といわれる備長炭は、ウバメガシやアラカシの自然木を高温でむし焼きにした白炭で、茶道のお手前に使われる茶の湯炭(黒炭)とともに珍重されてきました。他の炭に比べて硬度の高い備長炭は、その一本一本が自然に育まれた原木の姿を保ち、墨色が光の加減で微妙に変化し、それぞれが独特の表情をたたえて見飽きることがありません。

シンプルでありながら確かな存在感を漂わせる炭は、その歴史から和の世界そのものと思われがちですが、和室はもちろん洋室、特にゆとりのある単色の室内空間によく合います。例えば、単彩色の鉢に数本の備長炭をバランスよく差し立てれば、リビングを飾る味わい深いオブジェになります。壁にプリザーブドフラワーやドライフラワーと組み合わせて飾ってもモダンな演出になります。

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シンプルな鉢にバランスよく炭を組み合わせるだけで味わい深いオブジェに。リビングはもちろん、玄関などにもぴったり。

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オフホワイトの壁に映える炭と花の組み合わせ。絵画やタペストリーとは趣が異なるモダンな空間に。

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玄関やトイレ、洗面所などに置けば、草花などとはちがった落ち着きある空間が演出できます。小鉢や木工品、ザルや陶器のお皿などに配したり、苔や植物、小石などとの組み合わせも楽しめます。寝室には、粉引きの炭(ペレット)などが入った消臭、抗菌作用のある安眠小物なども人気があります。

日本古来より愛されてきた、炭の素朴な表情と奥深い味わいは、今、現代的なアートとしてインテリアに取り入れられる機会が増えています。お部屋の雰囲気と住む人の感性に合わせて、炭を暮らしにとり入れてみてはいかがでしょうか。

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お客様を迎える玄関にも炭のインパクトと優しさを。住む人の個性とセンスが漂います。

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小鉢に飾られた炭は小ぶりながらも印象的。書斎に落ち着きを与えます。

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寝室では炭の粉引きを敷いた鉢に備長炭をのせて安らぎの空間を演出します。

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サニタリールームには炭とフラワーグラスをガラス容器で組合せ、爽やかに演出します。

炭のさまざまな効能を活かした日常品は人気があります。その魅力を上手に暮らしに取り入れ、快適な毎日を過ごしてみましょう。

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炭の吸着効果で、髪の汚れや余計な油分を落とす無香料シャンプーです。

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長炭にひとつひとつ丁寧にワイヤーを巻いた手作りの箸置きです。

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保湿、抗菌、消臭効果にすぐれ、バスタイムはもちろん園芸などに、使用します。

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和紙に備長炭のパウダーをすき込みました。なめらかな肌ざわりと抜群の吸収力が魅力です。

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汚れを吸着する石鹸は洗い心地も爽やかです。浸透性のよい肌水(ウォーター)は天然成分で安心です。

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飲み物をまろやかにする炭マドラーは海外の方にも人気。ユニークなお土産としてもおすすめです。

炭のさまざまな効能を活かした癒しグッズを紹介します。見て触って使って自然と癒されます。

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備長炭を肌にやさしい麻素材の布で包みひとつひとつ手作りしたシューズキーパーです。靴の調湿、消臭に効果を発揮します。

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手芸作家の知光薫さんとのコラボレーションによるブレスレット。 研磨炭ビーズに和の「結び」の技が融合したハンドメイド作品。

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小引き出しやカバン、クツなどの消臭・調湿に便利。また食品の保存にもおすすめです。

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粉引きの炭(ペレット)が入った可愛いぬいぐるみ。消臭、抗菌作用があります。お子様のマスコットに。

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今回ご紹介した炭のインテリアと生活小物は、銀座「掌」からお取り寄せできます。「掌」は備長炭の本場で知られる紀州の中でも特に「みなべ」のウバメガシとアラカシの原木にこだわる本物志向のお店です。

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銀座紀州備長炭ショップ 掌
〒104-0061東京都中央区銀座1-8-15
TEL:03-3538-6556