2017年ココが気になる海外旅行先ランキング

2017年がスタートしました。リオ閉幕で2020年東京オリンピック・パラリンピックへのカウントダウンがついに始まり、訪日外国人客はうなぎ登りで増えることが予想されます。それに伴い海外旅行市場も多少の変化がみられそう。新デスティネーションに注目が集まり、これまでとは違ったテーマに期待が寄せられそうです。今年はどこに行こうかな。2017年ココが気になる海外旅行先ランキングを発表します。

トランプ旋風で新たなアメリカが気になる2017年海外旅行
旅のテーマにも変化が

2017年が、いよいよスタートしました。リオ閉幕で2020年 東京オリンピック・パラリンピックへのカウントダウンが始まり、訪日外国人客はうなぎ登りで増えることが予想されます。国内ではホテル高騰が続くため、いっそ海外旅行へ。海外を検討するには絶好の時期です。

ちなみに海外旅行市場は円安の影響もあり、出国者数は横ばいで推移しそうですが、デスティネーション(目的地)や旅のテーマには変化がみられることでしょう。気になるのはトランプ旋風が吹き荒れるアメリカ。日本でも法案が可決したカジノの、海外への関心も高まりそうです。

また、2017年はゴールデンウィークの日並びがよく、5月1日・2日を休むと9連休に。2月導入予定のプレミアムフライデーにも期待が寄せられます。今年はどこに行こうかな。2017年ココが気になる海外旅行先ランキングを発表します。



2017年は安全で・深い・短いがキーワード
週末海外でプチ贅沢を

これまでの安い・深い(近い)・短いというキーワードが、今年は、「安全で」・深い・短い「あん・しん・たん」へと変化しそうな2017年の海外旅行市場。旅の安全を求めるがゆえに、比較的、単価が高くセキュリティーが万全のホテルや、治安のよい都市、添乗員付きでテーマ性が高いツアーを選ぶ人が増えるのではないかと考えられます。

また、バブル期に流行した週末海外が、若い人を中心に復活しそうな予感です。というのも、2月から導入予定のプレミアムフライデーや、ハッピーマンデーが、近隣アジアを中心とした人々の往来に拍車をかけそう。社会人なりたての方は、学生旅とは違ったラグジュアリーなホテルを狙って、近場の海外でプチ贅沢をするのもよいですね。

今年、注目のデスティネーションはまず、ドナルド・トランプ新大統領が就任したあとの新しいアメリカです。それもハワイだけでなく、ラスベガスやニューヨークなどなど、トランプ氏ゆかりの地が人気となりそう。また今年は、オランダやフランスでも大統領選が予定されていて、ヨーロッパからも目が離せません。欧州旅行で注目したいのが、リガ歴史地区が有名なラトビアなどバルト3国といった新しいデスティネーションです。また、リピーターを中心にオーストリアやスイス、ドイツあたりも盤石に推移しそうです。さらに、キューバやロシアも気になります。近場では台湾や、2018年冬季五輪が平昌で開催される韓国もおすすめです。

では、いよいよ、2017年ココが気になる海外旅行先ランキングを発表します。



第10位 ラトビア(バルト3国)

バルト3国の一つラトビアは、「世界一美しい国」と称され、ここ数年で注目度も急上昇しています。首都リガの旧市街地・リガ歴史地区は、世界遺産登録の美しい街並みで、旅情を醸します。日本からのアクセスは、ヘルシンキ経由がポピュラー。リガはヘルシンキから空路約1時間とアクセスがよく、バルト3国の周遊型ツアーも造成されています。これらの国々は可愛い手工芸品などショッピングも楽しく、新たなヨーロッパの旅の目的地として関心が高まっています。



第9位 韓国

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2018年2月に開催される冬季五輪の会場となる平昌(ピョンチャン)は、首都ソウルから車で約3時間の山岳地帯に位置します。五輪開催を前に、ソウルから足を伸ばしてみてはいかがでしょう。また、ソウルから日帰り可能なスポットとしては、韓国軍事境界線DMZや、板門店(共同警備地区JSA)を訪ねるツアーも静かな人気。政治的な諸問題や韓流ブームの翳りはあっても、焼肉グルメや美容が楽しめて、安・深(近)・短の旅を約束してくれる隣国・韓国。五輪前の今がイキドキです。



第8位 タイ

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2016年10月、プミポン国王の崩御によってタイ全土は現在、喪に服している最中です。タイ政府は一年間の服喪中、旅行者に対して服装などへの配慮を求めています。派手な格好・言動は慎みたいものです。とはいえ、せっかくの海外旅行。タイ国内の有名観光地や観光施設の営業は通常通りで、大きな制約はありません。日本の皇室にもゆかりが深い、親日国のタイ。昭和天皇崩御を知っている世代であれば、今上天皇の生前退位のご意向にも想いを馳せることでしょう。やさしいタイ国民の哀しみに寄り添う気持ちを忘れないで。



第7位 シンガポール/オーストラリア

去年は、日本とシンガポールの国交樹立50周年の節目の年でした。IR関連法案が可決した日本では、気になるのが他国のカジノ事例で、シンガポールもその一つ。ラスベガス方式をとりいれたカジノ場を擁するマリナ・ベイ・サンズをはじめ、セントーサ島などを視察する人が増えそうな予感です。

そうした観点からいえば、オーストラリアもカジノが有名。6大都市にはいずれもカジノ場があって、リゾート滞在やMICE(マイス。国際会議等の総称)の観点からもオーストラリアから学べることが多そうです。



第6位 アメリカ・ニューヨーク/ラスベガス

ドナルド・トランプ新大統領の就任で沸くアメリカ。不透明な時代の幕開けとも言われていますが、今年はアメリカ本土への旅が久しぶりに増えそうな気配です。特におすすめは、ニューヨーク。マンハッタン区ミッドタウンのトランプ・タワーが、新たな観光名所になっています。また、ウアーマンハッタンの高級ブティック街・ブルックフィールド・プレイスや、グルメにカルチャーと100以上もの店が連なるウェストフィールド・WTCなど、富と権力の象徴ともされるニューヨークを思う存分に楽しみましょう。


また、今年はカジノ関連でラスベガスへ渡る人が増えそうです。ネバダ州は法人税がないため多くの企業が会社を設立していますし、公立学校は施設も充実しており、カジノによる恩恵は教育の分野にまで及んでいることを知らされます。賛否両論、負のイメージが強いカジノですが、日本ではアフター五輪のカンフル剤となるのでしょうか。



第5位 キューバ

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2015年に54年ぶり、アメリカと国交が正常化されたばかりのキューバ。昨年11月には、キューバ革命の英雄とされたフィデル・カストロ氏が死去するなど、時代の変曲点にあります。首都ハバナはノスタルジックな佇まいの建造物に、古きよきアメリカを彷彿とさせるクラシックカーなど絵になります。兌換ペソが流通する今がイキドキではないでしょうか。日本からの直行便はないので、メキシコかカナダ・トロントを経由していくのが一般的です。30日以内の観光目的ならビザは不要ですが、ツーリスト・カード(有料)が必要です。旅行会社を通じて渡航することをおすすめします。



第4位 ドイツ/オーストリア

ドイツは今年、宗教改革500周年にあたります。まさに2017年はルターイヤー。ルターゆかりの地を訪ねる旅も注目されそうです。ちなみに2018年は、ドイツの食の楽しみをキャンペーン展開する予定で、すでにその前哨戦が始まろうとしています。ミュンヘンで、バイエルン料理の白ソーセージとドイツビールを先取りしてはいかがでしょう。


一方、オーストリアは首都ウィーンだけでなく、エリザベートも好んだインスブルックに注目が集まりそう。おしゃれなホテルやバー、レストランが狙い目です。オーストリアへは、美術や音楽などテーマ性の高い商品が数多く造成されています。美術館貸し切りなど、ツアーならではの商品を選ばれるとよいでしょう。



第3位 スイス

鉄道ファンに人気のスイスでは、できたての世界最長鉄道トンネルを、ぜひ体験されるとよいでしょう。このトンネルがあるのは、スイス国鉄の新ゴッタルド線です(2016年12月11日開通)。アルプス越えの難所・ゴッタルド峠にトンネルがつくられたのは1882年のことですが、近年、17年という工事期間をへて、アルプス山脈の地下に新しいトンネルが誕生しました。そこを最大時速250キロで走り抜けます。新トンネル開通で、ティチーノ地方やイタリア方面への旅がより便利になりました。

スイスの鉄道旅には、スイストラベルシステムSTSのスイストラベルパスが便利です。パスを提示することで、都市交通(トラムや市バスなど)を無料で乗車できます。パスの対象都市は約90、無料入場できる博物館や美術館が500以上と、2017年はさらにパワーアップします。



第2位 台湾

人気の台湾は、今年も熱くなりそうです。映画「湾生回家(わんせいかいか)」をご覧になられたかたもいらっしゃるでしょう。湾生(わんせい)とは、日本の統治が始まってから終戦を迎えた1945年までの50年間に台湾で生まれ育った約20万人の人々をさす言葉。今の日台の温厚な関係、その源をさぐることができます。



第1位 ハワイ

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皆さんお待ちかねの堂々第1位は、ハワイです。期待の羽田発・コナへのハワイアン航空直行便が、2016年12月に就航したばかり。コナ線の復活に、悦んでいる人も少なくないのでは? 2017年はオアフ島だけでなく、ビッグアイランド(ハワイ島)に注目が集まりそう。ネイバーアイランドの魅力を存分に体感してください。

さて、開業5周年を迎えたアウラニ・ディズニー・リゾート&スパ コオリナ・ハワイでは、新たなエンターテインメントショー「カ・ヴァア:ルアウ・アット・アウラニ」をスタートさせています。かつて昭和の時代は、団体旅行の立ち寄り場所だったパールハーバー(真珠湾)。若い人たちには馴染みがないであろう真珠湾も、安倍首相の訪問で、注目が集まりそう。ホノルルオンリーの滞在なら、いつもとは違うオアフ島の名所を訪ねてみてはいかがでしょう。


この記事の担当ガイド
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旅行 ガイド 
千葉 千枝子

 

淑徳大学経営学部観光経営学科教授。中央大学国際観光コース兼任講師。特定非営利活動法人交流・暮らしネット理事長。運輸・観光全般の論評、執筆・講演、テレビ・ラジオ出演などジャーナリスト活動を行う。日本観光研究学会・日本旅行業女性の会会員。ファイナンシャルプランナー、総合旅行業務取扱管理者ほか有資格。

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