うっとうしい梅雨を照明で撃退

梅雨時はどんよりとした空に、なんとなく気持ちが沈みがちです。そんな気分を吹き飛ばすお勧めの照明をご紹介します。自宅で簡単にできるのでぜひお試し下さい。



梅雨時は日中でも陰鬱

20160601_001.jpg梅雨時の朝、起床したときの窓外がどんよりした曇りや雨空に気持がトーンダウンして、やる気のスイッチが入らないことは誰にでもあると思います。この状態が進行すると季節性鬱病に似たような症状になり、他の要因が加わると治療を要する病気に発展しかねません。その前の簡単な予防法として光をいっぱい浴びることが薦められます。

今にも泣き出しそうな、どんよりした日の朝に外の光の状態を測定してみました。朝の時間帯にもよりますが、照度は2000~3000ルクスで、晴れたこの時間帯の明るさに比べ1/10以下しかありません。



色温度も測ってみました。約6000Kで、外に出てみれば、思っているほどの陰鬱感はないのですが、陰影のない柔らかな光と蒸し暑さは、なぜかだるい気分になります。

20160601_002.jpg屋外ですらそのように状況ですから、住宅の室内に至ってはさらに悪い雰囲気になります。例えば昼光率2%の窓のある部屋でも、採光による室内の平均照度は40~60ルクスで陰気な気分に陥ります。この明るさは目覚めを妨げる明るさといえます。





図1は「クルーゾフのデータ」と呼ばれています。今から60年以上も前に作られたものです。照度と色温度の関係で空間の雰囲気がおおよそ分かります。例えば上述の40~60ルクスの明るさで色温度が6000Kの場合、陰鬱状況にあることかが分かります。このデータは被験者がヨーロッパ人のため日本人の感覚とは少しずれております。しかし照明による雰囲気が分かる貴重なデータのため、今でも照明設計者の中で活用されています。

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室内に木陰を作ろう

20160601_004.jpg晴れた日の日中、木々で囲まれた小路を散策している様子をイメージしてみてください。地面には木陰が映り、涼しい風が通り抜ける、とてもさわやか気分が想像されます。

しかし曇天では木陰は生じません。つまり晴れた快活なイメージのポイントは光と影なのです。それを室内で演出することは、それほど難しいことではありません。





少し大きめの観葉植物があれば、そこにスポットライトを当てるだけで床面や壁面に影を映すことができます。観葉植物は葉の形が小さいほうが良く、またスポットライト器具の設置は仮設でもかまいません。どこかに挟み込めるところがあればクリップ式のスポット器具で十分です。

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スポットライト器具は ダイクロイックミラー付きハロゲン電球用が良く、40W~75Wのパワーでワット数の高いほど効果が得られます。今日ではCOB(発光部が一つに集約されたワンコアタイプ)のLEDランプ器具でも代替できます。できれるだけ太陽光に似た光を放つ光色が薦められます(室内では色温度は3000K~3500Kが適)。

20160601_006.jpgこのような演出はできるだけ窓際で行うと良いでしょう。曇天でも外光と一体になることでより太陽が差し込んでくるような効果が期待できます。さらに色物の花が飾られてあれば、それか明るく照らされることで部屋がより明るく華やいだ気分に駆り立てられます。

毎日のように続く陰鬱な梅雨空もこのような人工光で、間違いなく気分は改善されるはずです。








この記事の担当ガイド

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照明 ガイド 

中島 龍興

 

数々の受賞歴を持つ照明デザインのプロが、賢い照明器具の選び方、活用法などを伝授!

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