涼しさを誘うインドアグリーン

インドアグリーンの起源は飛鳥時代から

お部屋に小さなグリーンがひとつあるだけで、安らぎを感じます。緑の色合いが心を和ませ、穏やかに生命を育む姿が私たちの心を癒してくれるからでしょう。

日本では飛鳥時代に、草花を室内に飾る習慣が生まれ、平安期には中国から伝わった盆栽が貴族の間で広がり、やがて活け花の文化も庶民の暮らしに花や緑を飾る習慣となって定着していきました。

このように日本人は室内に緑を上手に取り入れて、自然のもつ安らぎや涼感を暮らしに活かしてきたのです。

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小さなグリーンがひとつあると、お部屋の雰囲気がやわらかく、そして爽やかに変わります。お部屋になんのグリーンもない方は、小さなものでもいいので、ちょっと置いてみましょう。


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今回の特集で「インドアグリーン」について教えていただいた、濱田英樹さん。

<プロフィール>

(株)プラネット勤務。花と緑をもっと暮らしに取り入れられるよう、ハイドロカルチャーによるインドアグリーンを広めている。


葉の形、色、ボリュームが涼しさを感じさせる

これからの季節、室内を涼しく感じさせるグリーンとはどのようなものでしょう? それには葉の形や色、ボリュームなどが関係しています。たとえば、細い笹の葉を思わせるアレカヤシの種類は、窓辺に置くと微かな風にも葉を揺らし、涼しげな空気の流れを感じさせてくれます。また細い枝先に噴水のように葉を広げるドラセナも、室内に涼しさを伝えるグリーンのひとつです。

そして葉の色も涼しさに関係しています。明るい緑色の葉をもつパキラやポトスなど、見た目も爽やかで、光を優しく受けている様子は、木漏れ日の中にいるような心地よさを誘います。室内に涼を呼ぶのは、こうした自然の風や光などを繊細に伝えてくれるグリーンといえるでしょう。

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ドラセナの種類は、白い鉢に化粧石で涼しさを演出しお部屋のコーナーに配置します。


リビングをグリーンで涼しげに

それでは、こうしたグリーンを、どのように飾ったらよいのでしょうか? 

たとえば広めのリビングには、バッサイアやアレカヤシなど、背が高く存在感のあるグリーンを置いてみましょう。窓辺に置くと、葉が夏の日差しを和らげ、木陰にいるような涼しさを感じさせてくれます。

また鉢選びも、グリーンを飾る場合の大切なポイントになります。小さめのグリーンでも、高さのある鉢カバーに収めると、作品を展示しているような雰囲気が生まれ、センスのよいインテリアに変わります。色は白や黒などの無彩色の鉢に合わせると涼しさが引き出され、シンプルでモダンな印象になります。

リビングのテーブルにはガラス鉢に清楚なアイビーをあしらってみるのも涼しい演出です。また夏の水辺を感じさせてくれる水生植物も涼感があります。たとえばカヤツリグサやシラサギスゲなどをやや深さのある水鉢に植えて置いてみましょう。茎の先端に傘を広げたように細い葉を伸ばし、わずかな風にも揺れて心を和ませてくれます。

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緑の葉が長く伸びるハートカズラやワイヤープランツなどは、流れ落ちるように飾ると涼しげに感じます。


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白い鉢やガラス鉢にグリーンを組み合わせると、爽やかなインドアグリーンに早変わりします。


indoor_p_column_02.jpg 土に戻る素材でリサイクル

土に戻る素材(生分解性プラスチック)でできている植木鉢や不用になった食器でできている器など、ecoを考えた製品が開発されています。とくに生分解性プラスチックを使用している鉢は、土に埋めると微生物の働きで、水と二酸化炭素に分解されてなくなります。紫外線や酸素などでも分解される鉢などもありますので、ゴミを減らす視点でも選んでみましょう。

生分解性プラスチック鉢「リアース」(アイリスオオヤマ0120-211-299)


盆栽、ハイドロカルチャーなど飾り方もいろいろ

お客様を迎える玄関には、和の趣向をこらした盆栽風のグリーンを置いてみてはいかがでしょうか。溶岩の鉢に栽培されたソテツを漆器の受け皿に載せて飾ると、ふと暑さを忘れさせてくれるおもてなしになります。

キッチンには、ハイドロカルチャー(水耕栽培)をおすすめします。ハイドロカルチャーの魅力は管理のしやすさと器選びを自由に楽しめることです。

小さな葉が可愛らしいアジアンタムをハイドロカルチャーにしてみると、ひんやりとした緑陰の空気を感じさせ、小さなオアシスをつくってくれるでしょう。ハイドロカルチャーは、水位計さえあれば管理もしやすく、水仕事の延長でできるのも嬉しいものです。小さなグリーンをひとつキッチンに飾ることで、毎日のお料理も楽しくなることでしょう。

グリーンは生活に潤いと安らぎを与えてくれるインテリアです。光と水、温度の管理を上手にすれば、さまざまな表情やその成長を長く楽しむことができます。この夏、お部屋にグリーンを取り入れて、涼しさの演出を楽しまれてはいかがでしょうか。

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和の雰囲気を感じさせるソテツは、漆器の受け皿に乗せて玄関に飾ると、涼しさのおもてなしになります。


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アイビーはハイドロカルチャー(水耕栽培)にしてキッチンやサニタリーに飾ります。


見て感じて楽しむグリーン

溶岩の鉢やハイドロカルチャー(水耕栽培)で育てる小さなグリーンです。窓辺やキッチンにひとつ飾って、爽やかさを楽しんでみましょう。

indoor_p_05_01.jpg パキラ

育てやすい南米原産の観葉植物です。掌を広げたような美しい葉とユニークな樹形のパキラは、器を変えることで和洋の雰囲気が楽しめます。


indoor_p_05_02.jpg ソテツ

溶岩を鉢にして栽培し、苔を合わせたことで、より和の赴きを感じさせています。四角い受け皿とあわせるとモダンな盆栽になります。


indoor_p_05_03.jpg 銀杏・ケヤキ

日本の山野をイメージした銀杏とケヤキの盆栽です。新芽、若葉、紅葉の四季を室内で楽しむことができます。腐葉土や培養土などを使用しないハイドロカルチャー(水耕栽培)です。


indoor_p_05_04.jpg ペペロミア・ガジュマル

熱帯性のペペロミアとガジュマルは、ガラスの小鉢に栽培して楽しむことができます。土には保水性の高いセラミックと炭化物からできている「ネオコール」という材料を使用しています。


indoor_p_05_05.jpg ポトス・サンデリアナ

育てやすい代表的な観葉植物です。ティーカップを器にしていますのでキッチンに飾るとオシャレなインテリアになります。水の状態が分かる水位計が付いています。


indoor_p_05_06.jpg ホンコンカボック

丈夫で育てやすいホンコンカボック。白い器には、希望の文字を入れることができるので、誕生日やお祝いなどのプレゼントになります。ハイドロカルチャーで育てます。


「インドアグリーン」に関する書籍等の紹介

毎日の生活に潤いと、これからの季節には爽やかさを運ぶ「インドアグリーン」の楽しみ方、育て方がわかる書籍をご紹介します。

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本書はリビング、寝室、窓辺、バスルーム、子ども部屋、玄関など、異なる場所でのグリーンの選び方と飾り方、不思議な小宇宙・テラリウムの作り方、インドアグリーンを楽しむための容器と人工培土などを紹介。写真もグリーンがお部屋のインテリアとして写されているので飾り方の参考にもなります。

主婦と生活社

1,470円(税込)


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インドアグリーンにはどんな種類があり、どこで買い、どう飾ると素敵に見えるのかを徹底取材。第一線で活躍するグリーンコーディネーターやリーディングショップのスタッフから、自宅で楽しめるスタイルを提案してもらった一冊。見違える器づかいから、置く場所に相応しい高さやボリューム、グリーンのフォルムなど、住まが心地いい空間に生まれ変わるアイディアが満載。

世界文化社

2,310円(税込)


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かわいい植物とオシャレな器の写真が満載のインドアプランツの新しいアレンジ例を徹底紹介している一冊。自宅のリビングやキッチンで楽しく緑と付きあうためのノウハウがいっぱい詰まっています。きれいな写真とわかりやすい文章で、楽しみ方を伝授しています。

小学館

1,470円(税込)