梅雨の花、アジサイを育てて楽しむ

植木・庭木/庭木・花木の種類と育て方

今年も梅雨の季節がやってきましたね。この時期にピッタリな花というと、まずアジサイが思い浮かぶのではないでしょうか。今回は、このアジサイを育てて楽しみましょう。



大きな葉を持つ水がめ、アジサイ

ajisai-1.jpgアジサイは梅雨に良く似合う花として、古くから親しまれている植物です。アジサイの学名「Hydrangea」には「水がめ」、「macrophylla」には「大きな葉の」という意味があります。

アジサイはその大きな葉から水分が蒸散しやすいためか、水が切れるとグッタリして水を欲しがる植物なので、納得の名前ですよね。

なお、花のように見える部分は実は花ではなく「ガク」の部分で、装飾花とも呼ばれます。本当の花は、花びらのように見えるガクの中心部にある小さな点のような部分になります。 


《 アジサイ 》
学 名:Hydrangea macrophylla
別 名:ハイドランジア、七変化
原産地:日本
科 名:アジサイ(ユキノシタ)科
属 名:アジサイ(ヒドランゲア)属
性 状:落葉低木
開花期:5月~7月
花言葉:移り気、元気な女性、辛抱強い愛情



アジサイの花色は変わるのか

ajisai-2.jpgアジサイはたくさんの品種があり、花色も青や紫だけでなく、白、紅、ピンクと実に豊富です。

ところで、アジサイは土の酸度によって色が変わるという話を聞いたことはありませんか?

俗に土が酸性の場合は青色が濃く、逆にアルカリ性の場合は赤味が強くなると言われていますが、その後の研究によりアジサイに含まれる色素「デルフィニジン」が酸性の土に溶け出した「アルミニウムイオン」と化合して青色が出ることがわかっています。アルカリ性の土の場合は、このアルミニウムイオンが溶け出さないために赤くなるのだとか。

ただしこれは、品種改良や遺伝子により固定した花色が劇的に変わる(青花が赤になるなど)というものではありません。

ですが青い花をより青くするのに酸性の鹿沼土を、赤い花をより鮮やかにするのに石灰を施すなど土の酸度調整をしてみる価値はあるでしょう。これは、花色が冴えない場合にも使えるテクニックです。



アジサイの種類ajisai-10.jpg

園芸店に行くと、花をつけたアジサイの鉢植えがたくさん並んでいますが、そのラベル表記は様々。「アジサイ」とだけ書かれたものや、「西洋アジサイ」、「山アジサイ」、「柏葉アジサイ」、「ハイドランジア」などと書かれたもの、また「墨田の花火」や「七段花」など品種名が書かれている場合もありますね。  

 

アジサイ(H. macrophylla)は、広義ではガクアジサイ、ガクアジサイから花序全体が装飾花となったアジサイ、西洋アジサイのことを指します。ハイドランジアは西洋アジサイの別名で、西洋で品種改良されて逆輸入の形で明治ころ日本に入ってきたアジサイです。華やかな花が多いので近年人気となっていますが、在来種のアジサイに比べ耐寒性に劣ります。山アジサイ(H. serrata)は日本で古くから栽培されているアジサイですが、柏葉アジサイ(H.quercifolia)は北米に自生するアジサイで、日本での栽培はまだ歴史が浅い植物です。



アジサイの育て方

ajisai-5.jpgアジサイは、比較的丈夫で育てやすい植物です。前述の通りたくさんの種類がありますから、花姿を見て気に入ったものを育てましょう。

アジサイの植え場所は日向から半日陰で、水もちと水はけの良い土に植えます。鉢植えの場合は、基本土である赤玉土7:腐葉土3(青花の場合は赤玉4:鹿沼3:腐葉土3にしても)に植えます。開花株の鉢植えを購入した場合には、鉢に対して株が大きい場合は植え替え適期までに根詰まりを起こす恐れがあるので、一回り大きな鉢に鉢増ししてあげましょう。購入時に植え替えの必要がない場合は、花後もしくは落葉期に植え替えをします。



【管理のポイント】

ajisai-6.jpgアジサイは水を欲しがる植物です。特に鉢植えでは水切れに注意しましょう。庭植えでも、乾燥が続くときは水やりをします。

夏の間は鉢植えは半日陰に移動させますが、庭植えで日当たりが良すぎる場合は、株元をマルチングしたり遮光ネットなどで日差しをやわらげてあげましょう。

肥料は、花後にお礼肥えとして油かすなどを与える程度です。最近では青花アジサイ用とか赤花アジサイ用といった肥料も市販されていますが、いずれの場合も与えすぎは禁物、記載されている規定量を守って施肥しましょう。

なおアジサイは耐寒性のある植物ですが、西洋アジサイは厳寒地では冬囲いが必要になります。また西洋アジサイでなくとも品種によっては冬の寒風で花芽が枯れてしまうこともあるので、寒冷紗などで風除けをするとよいでしょう。 

 

【剪定のポイント】

ajisai-7.jpgアジサイの剪定は、花後すぐに行います。遅れると翌年に咲く花芽を切ってしまうことになります。

剪定する場所は通常花から2~3節目で切りますが、大きくなりすぎた株を小さく仕立て直したい場合は、さらに深い位置で全体的に切り戻します。

なお、アジサイの花は咲いた後もそのまま散らずに枝に残ります。青かった花が徐々に色褪せ、アンティーク調の色合いになるのも味わい深いものがあります。スペースに余裕があるなら、いくつか切らずにそのまま残しておくのもよいでしょう。  



【アジサイの増やし方】
アジサイは、挿し木で簡単に殖やすことができます。挿し木の適期はちょうど梅雨時にあたるので、試してみてはいかがでしょう。

この記事の担当ガイド

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ガーデニングガイド

畠山 潤子

はたけやま じゅんこ

花と緑のある暮しを楽しむ、ガーデニングライフのプロパゲーター

花好きな母のもと、幼少より花と緑に親しむ。1997年より、本格的にガーデニングをはじめる。 ガーデニングの素晴らしさを多くの人に知ってもらいたいとの思いで、ガーデンライフアドバイザーとして記事執筆や監修、講習会の講師などの活動を行う。