五月病になりやすい人、なりにくい人チェック

だるい、やる気が起きない、なんだか憂うつ......。実は新しい環境や生活に慣れたちょうどゴールデンウイーク明け頃は、その疲れや緊張感のゆるみ等で、心身にさまざまな不調を生み出す症状=「五月病」に注意する時期でもあります。それぞれの症状に合わせた漢方やオススメ食材をご紹介しましょう。


0501-4.jpg漢方や薬膳のベースでもある中医学は、「心身一如」の考え方を重視しているので、ココロとカラダを切り離して考えず、ふたつのバランスを取りながら改善させることが得意です。とくに病院で検査をしても異常がなく、原因がわからないようなケースに、中医学の治療が有効な場合も少なくありません。

たとえば「梅核気(ばいかくき)」。その名の通り、ちょうど梅の種がノドにつかえたような感じがするのですが、吐き出しそうとしても何も出てこないし、飲み込もうとしても飲み込めない。何かが詰まっているような感覚がずっと消えません。

これらの症状を聞くと「気管支に問題があるのでは?」と思いがちですが、実は性格が内向的で神経質であったり、不安ごとを多く抱えて眠れないなどの症状をかかえていたりします。

中医学ではこれを五臓では「肝」、カラダを構成している気血水では「気」の異常とみて、滞った気をめぐらせてノドの痰をとり、自律神経のコントロールを担っている肝の機能を正常にさせるのです。

ここで五月病になりやすい代表的なタイプを3つ挙げてみます。それぞれ当てはまる症状が1~2個なら問題ありませんが、3つ以上当てはまるものがあれば、要チェックです。オススメの漢方や食材をあげるので、参考にしてください。



五月病になりやすいチェックA

  • イライラしやすい
  • ストレスを感じやすい
  • 目が充血しやすい
  • 口が渇き、苦く感じる
  • 怒りっぽい

以上が当てはまるアナタは、ストレスを抱えやすく体内に熱がこもりがち。曲がったことが嫌いで、完璧主義者も多いです。物事を動かす元である気や、血の流れが停滞しているので、滞った気の流れスムーズにしたり、余計な熱を冷ますことが大切です。

代表的な漢方薬は加味逍遥散(かみしょうようさん)や、逍遥散。どちらも停滞した気をめぐらせ、消耗した血を補う作用があります。のぼせなどの熱感があるようなら、加味逍遥散がベターです。

食材だとミント、しそ、セロリ、ピーマン、みかん、ゆず、グレープフルーツ、ジャスミン、マイカイカ(中国ローズ)などがあります。香りのよいものも効果的です。



五月病になりやすいチェックB

実は新しい環境や生活に慣れたちょうどゴールデンウイーク明け頃は、その疲れや緊張感のゆるみ等で、心身にさまざまな不調を生み出す症状=「五月病」に注意する時期でもあります。それぞれの症状に合わせた漢方やオススメ食材をご紹介しましょう。

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  • 考え事が多い
  • 食が細い、食欲がない
  • 不眠がち
  • 体力がない、虚弱体質である
  • 動機や物忘れをしやすい

これらが当てはまるアナタは、不安ごとがあるとなかなか眠れなかったり、日ごろから心配事が多い(心配事を自分から作りやすい)小心者タイプともいえます。精神を安定させたり、造血作用のあるもの補いましょう。

代表的な漢方は帰脾湯(きひとう)。消化機能を回復させ、血を補い、心身を安定させてくれます。食材ではゆり根、なつめ、ハスの実、ゆり根、小麦(粉)、ハツ(豚の心臓)などがあります。血を補うアサリ、牡蠣、シジミなどの魚介類もオススメです。



五月病になりやすいチェックC

気鬱タイプ

Cタイプのめまいは、水分代謝が悪くて起こることが多い

  • のどに違和感がある(ゴロゴロする)
  • めまいや吐き気、げっぷが多い
  • 不安感が強い
  • 水分代謝が悪い
  • おなかが張りやすい

これらが当てはまるアナタは、ストレスなどで全身をくまなく循環する「気」の流れが阻害され、気分もダウンしてしまう、神経がデリケートなタイプでもあります。気の停滞は消化機能にも悪影響を及ぼすので、胃腸の働きを改善し、水分代謝をよくすることが必要です。

代表的な漢方は半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)。のどに違和感がある「梅核気」の改善に役立つ処方で、憂うつ感をやわらげ、慢性気管支炎や神経症にも用いることがあります。食材ではしそ、しょうが、陳皮(みかんの皮)、はと麦、昆布、わかめ、鯛、スズキなどもいいでしょう。

なお、五月病に「あさりとセロリのパスタ」の薬膳レシピもあります。とくにAのイライラ・ストレスタイプにオススメですが、精神安定やのぼせにも合うので参考にしてくださいね。



この記事の担当ガイド

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漢方・薬膳料理 ガイド

杏仁 美友

きょうにん みゆ


 

生活者目線で漢方を追求!

手軽に作れる薬膳レシピのパイオニア

自身の体調不良が漢方で改善できたことを機に、本格的に漢方・薬膳の分野を学んできました。国際中医師・中医薬膳師の資格を活かし、「こころに漢方を、くちびるに薬膳を」をモットーに、身近な食材を使ったカンタン薬膳やわかりやすい漢方の知恵を紹介していきます。



得意分野

「身近な食材をつかった薬膳レシピ」 「わかりやすい漢方のABC」「食材や生薬の特徴、効能」「美容薬膳」「美容漢方」「薬膳レストラン」など

ガイド担当テーマ

 

ガイドからの挨拶

こんにちは! 杏仁美友です。
わたしが漢方に興味を持ったのは、何を隠そう、頑固な生理痛を漢方で直したことから始まります。それ以来、中国の伝統医学に携わり、自分の治癒力や心とのバランスを大切に考える、漢方の素晴らしさや、毎日口にする物がどれだけ大切なのかということを、幅広い人にお伝えするようになりました。
「漢方」が困った時の引き出しを増やすものなら、「薬膳」は日々の食事で漢方の知恵をとりこめるものです。漢方や薬膳は決して難しいものではありません。人それぞれ体格も性格も違うように、一人一人に合った養生法があります。自分を知ることが、なによりも一番の武器であることを、そして、なにかに迷ったとき「漢方」という選択肢があることを、感じてほしい、思い出してほしい、トライして欲しいと願いながら毎回記事を発信しています。
より楽しく・身近に感じてもらえるような「一番身近な漢方ガイド」として、お役に立てれば幸いです。中医美容やアロマ、薬膳にも注目しつつ、今後は女性特有の悩み、出産・産後ケアにも力を入れていきたいと考えています。
どうぞ、あなたのココロとカラダに、漢方&薬膳のエッセンスを!