唐辛子(トウガラシ)の育て方・栽培方法

トウガラシはほとんど手入れもいらず、簡単に栽培できる野菜なので、初心者におすすめ。また、スペースをそれほど必要としないので、ベランダ栽培にもおすすめです。具体的な栽培スケジュールと育て方のコツをご紹介します。

0501-3-2.jpgピーマン・シシトウ・パプリカ、これらの野菜はトウガラシの一種です。ご存じでしたか? ですから、これから紹介するトウガラシの育て方をマスターすれば、ピーマンやシシトウ栽培にも応用ができます。しかも、トウガラシはほとんど手入れもいらず、簡単に栽培できる野菜なので、初心者におすすめ。スペースをそれほど必要としないので、ベランダ栽培にもおすすめです。

そして、応用範囲が広いのもトウガラシの魅力。青いうちに収穫すれば、青トウガラシとして夏場の暑い盛りの薬味に大活躍! 赤くなるまで完熟させて、しっかり乾燥させれば、料理に利用できるのはもちろんのこと、ハロウィンやクリスマスの飾りに利用することもできます。



トウガラシの栽培スケジュール 

0501-2-1.jpg

ナスやトマトと同じナス科ですが、南アメリカの熱帯地帯が原産なので、暑い気候を好みます。ですので、苗の植え付け時期も暖かくなってからがベターです。そして、日当たりが良く乾燥した気候が向いていますので、そのような場所を選んで、植えつけるようにしましょう。

またこのような気候を好むということは、日当たりがよ過ぎたり乾燥しやすくて植物を栽培しづらいと言われている、屋上やベランダの環境に向いているともいえます。



植え付け・準備するもの

乾燥した気候を好むということは、水はけの良い土が向いているということになります。ですので、畑で育てる場合は、水はけが良くなるよう土壌改良をし、高畝で植えつけるようにします。水はけを良くする土壌改良材としては、たい肥・炭・くん炭などがあります。スコップや鍬で30cmほど掘り起こし、土壌改良材を適量、混ぜ込んでいきます。水はけが良い土は、乾いた土を、一握り手で握ってみたときに、ほとんど団子状にならず、ホロホロと崩れる状態が目安です。

プランターで、既成品の培養土を利用して育てる場合は、培養土に「くん炭」をブレンドして使いましょう。培養土の状態にもよりますが、1プランターにつき、お茶碗大盛り2杯分くらいのくん炭が適量です。

肥料はそれほど必要としません。元肥として、発酵油かすか完熟鶏ふんなどを使用します。

0501-3-2.jpgトウガラシは根が浅く、風で倒れやすいので、植え付けと同時に、80cm程度の支柱を1本、立てておきます。 ある程度育ったら、下部から出た側枝は摘み取り、中心の主枝とその両脇の側枝2本を残し、3本仕立てにし、この状態で大きく育てていきます。

根が浅く、水はけのよい土で育てているので、真夏の水切れには注意が必要です。土の水分が完全になくなってしまって、株がゲンナリしているようでしたら、枯れる直前の黄信号! 普段から土の状態を良く見て、水やりをするようにしましょう。

実は、苗の頃からの水やりのしかたで、根を丈夫にし、簡単に水枯れしない株に育てる方法があります。それは、「イジメぎみ」に育てるというもの。ただ単に毎日水やりをするというのではなく、「土が乾燥したら水をやる」というサイクルを繰り返すようにします。土が乾燥すると、根は、水を求めてグッと生長します。それを繰り返すことで、根の生長がうながされ、丈夫な株に育ちます。逆に、土が常に湿った状態にあると、あまり根を伸ばさなくても水分を吸収することができるので、植物はあまり根を伸ばそうとせず、地上の株も丈夫に育ちません。

慣れないうちは、土に人差し指の第一関節くらいまで差し込んでみて、乾燥していたら、水をあげるという風にしてみてください。こうしてしっかりと育てておくと、夏場の高温・乾燥にも負けず、きちんと実をつけてくれます。この方法は、トウガラシだけでなくすべての植物に共通の方法です。



ハバネロ・島唐辛子・・・辛い物好きにはたまらない!

普通のお店では手に入りづらい品種を育てることができるのも、家庭菜園の楽しみのひとつですね。最近は、世界一辛い「ハバネロ」や、沖縄ではコーレーグスと呼ばれる「島唐辛子」、京の夏の風物詩、「万願寺とうがらし」など、様々な品種の種が手に入るようになっています。

また、「バナナピーマン」というタイ原産で、10~15cmもある大きなものや、「かぐらなんばん」というピーマンを小さくしたような形をした品種は、乾燥させて、クリスマスリースなどに利用しても楽しめます。

苗からだけでなく、種からでも比較的簡単に育てることができるトウガラシ。様々な品種を少しずつ育ててみてはいかがでしょうか?


 

この記事の担当ガイド

0501-3.gif家庭菜園ガイド

小島 理恵

こじま りえ



大手造園会社を経てプロのガーデナーとして独立。専門学校の講師も勤める。オーガニックな空間作りが得意で、こと家庭菜園においては、無農薬栽培や有機栽培、地産地消、フードマイレージなどについても研究を重ねている。



 

 

得意分野

庭の一部として菜園をつくること、庭の中で、お花と一緒に野菜を育てることなどに、注目が集まっています。そんな事例を紹介しながら、楽しくて、役に立つセミナーなども多数行っています。



 

ガイド担当テーマ

 

 

ガイドからの挨拶

食の安全性や自然環境への関心が高まるなか、家庭菜園をはじめる人が増えています。そんな家庭菜園初心者の方たちに役立つ情報を発信していきます。

また、せっかく自分で育てるのなら、安全でおいしい野菜を食べたいものです。化学農薬や化成肥料を極力使用しない、「オーガニックなガーデニング」を続けているプロのガーデナーの視点で、安全で自然環境に負荷をかけない育て方や、病害虫の防除方法をお伝えしします。

多くの方々に、ガーデニングの一部として楽しめる「キッチンガーデン」として、おしゃれに野菜づくりを楽しんでいただけたら幸いです。