冬の必須作業!バラの剪定の基本

冬の3大作業とは?

春から年末にかけて、次から次へと庭仕事をこなしてきた方も、1月に入るとひと休みといった感がありますね。

rose10.jpg             寒い冬に、がんばって手入れをしておくと、初夏には、このような姿に!

でも、バラを育てている方だけは別です!バラの芽が休眠しているこの時期にやってしまわなければならない仕事が3つあります。それは、

  • 剪定
  • 施肥
  • 病虫害防除

 

なぜ、冬に剪定なのか?

剪定とは、枝を整理して、樹形を整えながら切ることです。

春から秋にかけて生育が旺盛なバラは、冬の間に、きちんと形を整えておかないと、年々背が高くなってしまい、イメージどおりの位置で花を眺めることができなくなってしまったり、枝が混みすぎて病気になりやすくなってしまったりしてしまうのです。

剪定の基本

ひとくちに「バラ」といっても、つる性のものや低木のような形になるものまで、品種によって樹形が様々なので、例えば、株元から何センチくらいで切るなどといった画一的な説明をすることができません。また、バラの剪定のしかたは、人によっても千差万別。ためしに数冊の本を調べてみると、その著者によって方法が若干違っているのがわかります。

rose17.jpg             品種の特徴に合わせて、さまざまな仕立て方で楽しまれているバラ。


でも、基本はすべて同じです。

例えば、株の大きさはコンパクトにし、大きく質の良い花を咲かせたいときには、枝数を減らし、丈も大胆に切り詰めます。また、花の大きさは小さくてもよいかわりに花数を多くし、ふんわりとしたイメージに仕上げたいときは、枝の数を減らさずに、丈もあまり切り詰めないようにするということです。つまり、基本的に剪定を強く行えば、大きくて質の良い花が咲き、軽く行うと、やわらかい樹形になるということです。

そのうえで、そのバラの花の形やスペースに応じて、ご自分の好みの形に仕上げてゆくとよいでしょう。

切りすぎて「枯れてしまったらどうしよう?」とか、「花が咲かなかったらどうしよう?」といった心配をして、植物をなかなか切れない方がいらっしゃいますが、切りすぎが原因で枯れるということはありませんので、今年はこうやってみようという感じで、思い切って実験する気持ちでやるのが一番だと思います。

rose1.jpg                            剪定する前の様子


今回は、最も基本的なシュラブローズを例に、剪定の基本を紹介していきます。

1.不要な枝をとりのぞく

rose3.jpg内側に入り込んで、他の枝と交差している枝や細い枝、古枝などを取り除きます。このことによって、風通しが良くなり、病虫害の防除にもつながります。ガイドは、バラも、化学農薬を使わない手入れをしているので、剪定する際にも病気や害虫を防ぐことなども考えながら樹形を整えています。ですので、病気になりやすい古い枝や、込み入っていきそうな枝は、この時期、すっぱりと切ってしまっています。

 

 

2.花が咲いて欲しい高さの、5割~7割程度の高さで切る。

バラは、春に芽吹いてから数週間、数センチほど伸び、その先端に花芽をつけます。ですから、今、理想とする高さに剪定してしまうと、そこから数センチ高い位置に花が咲くということになってしまいます。また、四季咲きの品種の場合、初夏から秋にかけて生長しながら花を咲かせていきますので、冬の間に膝の高さくらいに剪定しておいても、秋に咲くころには、人の背よりも高くなっているということもしばしばあります。そのようなことを予測して剪定できるようになるのが理想です。

3.切るときは、外芽の上で。

切りたい高さが決まったら、外側に向いている芽の上で切ります。そうすると、この外芽が一番上の芽ということになり、ここから強い枝が出て、生長していきます。

外芽の上で切る


これは、バラに限らず、すべての植物の選定の基本です。枝が内側へ内側へ交差してしまうよりも、外側へゆったりと伸びていってくれたほうが、形としても美しいですし、病気や害虫からの被害を防ぐ基本となります。

 

rose2.jpgこのようにして整えたのがこのバラです。

冬の間、数本しかなかった枝から、初夏には、ボリュームたっぷりに花が咲いてくれるはずです。さあ、寒さの厳しい今がチャンスです!春の結果が楽しみな実験気分で、バラの剪定、行ってみてください。

 


この記事の担当ガイド

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  小島 理恵

大手造園会社を経てプロのガーデナーとして独立。専門学校の講師も勤める。オーガニックな空間作りが得意で、こと家庭菜園においては、無農薬栽培や有機栽培、地産地消、フードマイレージなどについても研究を重ねている。