メンテナンスコラム

暖房器具の選び方

「対流式」と「輻射式」を組み合わせて快適な暖をとりましょう

暖房器具の種類はさまざまですが、暖める方式は大きく分けて2種類。「対流式」と「輻射(ふくしゃ)式」となります。

◆対流式

空気を暖め、暖めた空気が動くことにより部屋全体を暖める暖房方式で、エアコンやファンヒーターなどがこれにあたります。

◆輻射式

遠赤外線による輻射熱で、人や壁、床などの表面温度を暖めることで部屋を暖めます。また輻射熱を体に当てることで、暖めたい場所を素早く暖めることもできます。昔ながらの石油ストーブ、オイルヒーターやハロゲンヒーター、カーボンヒーター、こたつ、床暖房などがこれにあたります。

素早く部屋を暖めることができ、また比較的コストが安いのが「対流式」の特長ですが、暖かい空気は天井に集まるため暖かい場所にムラができやすく、また空気が汚れてしまうという欠点があります。一方「輻射式」は部屋全体を暖めるには時間がかかりますが、音が静かで空気を汚さず、"ひなたぼっこ"のようにじんわりと部屋を暖め、一度部屋が暖かくなると暖まった壁や床からも熱が発生するため、暖かさが持続するといった特長があります。ただしコストが高くなってしまうという欠点があります。

暖房は、対流式と輻射式を組み合わせることで、それぞれの短所を補い合い、暖房の効率と省エネ効果をアップすることができます。上手に組み合わせて、暖かい冬を過ごしましょう。

さまざまな暖房器具
danbo_zu_01_01.gif danbo_zu_01_02.jpg danbo_zu_01_03.jpg danbo_zu_01_04.jpg

danbo_zu_01_05.gif danbo_zu_01_06.jpg danbo_zu_01_07.jpg danbo_zu_01_08.jpg danbo_zu_01_09.jpg danbo_zu_01_10.jpg danbo_zu_01_11.jpg danbo_zu_01_12.jpg

対流式の暖房器具、エアコン、ファンヒーターのメリット・デメリット

ここでは主な暖房器具のメリットとデメリットについてご紹介します。新しい暖房器具も出てきていますし、技術の進化により、認識を新たにした方がいい暖房器具などもあります。まずは対流式でお部屋を暖める暖房器具の代表格、エアコンとファンヒーターについて紹介します。

エアコン

エアコン

最近のエアコンは、技術の進化によりしっかりとした暖房機能を備えています。さらに小さなエネルギーから大きな暖かさをつくることができ、意外にも電気を利用した暖房器具のなかでは、かなり効率のよいものとなります。「高い電気代の割に暖かくない」というのは、すでに過去のもの。商品やお部屋の広さ、希望する室温によって異なりますが、1時間の電気代の目安は10円程度です。

購入の際のチェックポイントとしては、COP値に注目してください。COP値とは"エネルギー消費効率"のことで、どれだけコストを抑えて効率良く暖かくできるかという数値となり、ここの数値が大きい程、エネルギー効率がよいことになります。

エアコンは高い位置に付けられることが多いため、足元が暖かくなりにくいという欠点もありましたが、今では足元を暖めてくれる機能のほか、センサーによって人のいる場所に暖かい空気を送ってくれるなど、さまざまな機能が装備されています。初期の導入コストも、冷房や除湿、空気清浄といった1台2役、3役の機能を考えると、リーズナブルとも考えられます。

エアコンの注意点としては、空気を暖めるため乾燥しやすいこと。湿度が低くなるので、加湿器と組み合わせて利用した方がいいでしょう。

ファンヒーター(石油/ガス)

ファンヒーター(石油/ガス)

空気を暖める対流式の暖房となるファンヒーターは、早く暖まり、かつ比較的コストが低いという特長があります。高い位置に取り付けられるエアコンとは異なり床に設置されることが多く、足元からの温風で冷えた足を暖めてくれるため体感的にもすぐに体が暖まった気持ちになります。また軽量・コンパクトなものが多く、移動や持ち運びも便利です。

一方短所は、何といっても室内の空気を汚染してしまうこと。CO2(二酸化炭素)やNOx(窒素酸化物)、ホルムアルデヒドなどの燃焼ガスが出るので、こまめな換気を行わないと、頭痛といった身体への悪影響も心配されます。

ファンヒーター

せっかく暖めたお部屋を換気によって寒くしてしまうのはなんとももったいない気がしますが、説明書に書かれている換気のやり方や回数を守り、空気を入れ替えましょう。またファンヒーターは燃焼時に水蒸気を出すため、結露の原因にもなります。

なおファンヒーターには燃料に灯油とガスを利用した2種類があります。ガスを使ったものに比べ灯油は、暖房器具自体の価格も、またランニングコストも安いのですが(灯油は約6円、ガスは約8円/1時間 ※商品により異なります)、灯油の臭いや給油の手間、可燃性の燃料があるため事故や火事の心配といったデメリットがあります。また今年は例年に比べ灯油の価格が上がっていますので、コスト的なメリットもあまりありません。また最近のガスファンヒーターには空気清浄能力が装備されているものがあり、シーズンオフには空気清浄機として使えるものもあります。


輻射式の暖房器具、オイルヒーター、こたつのメリット・デメリット

輻射式でお部屋全体を暖められるオイルヒーター、そして日本の冬の風景には欠かせない"こたつ""石油ストーブ"について紹介します。

オイルヒーター

オイルヒーター

エアコンやファンヒーターのように暖めた空気をファンの力で室内に広げるのではなく、輻射式による暖房器具なので、空気を汚さず、また乾燥もせず、健康的で安全な暖房器具となります。部屋のホコリを空気中に飛び散らせないので、肌やのどを乾燥させず、花粉症やハウスダストアレルギーの方にも愛用されています。音が静かで臭いもないので、寝室にも向いています。

数々のメリットと穏やかな暖かさが特長ですが、部屋全体が暖まるまでにかなりの時間を要するのがデメリットです。急いで暖めたいときは、ほかの暖房器具との併用が必要です。またランニングコストがほかの電気式ヒーターに比べて高めなのも欠点。商品によって異なりますが、電気代の目安は1時間30円程度です。また長時間暖房器具の近くにいると、低温火傷を起こすことがありますので注意が必要です。

クリーンで静か、安全性も比較的高いオイルヒーターは、子供や高齢者の部屋にも向いています。また室温が高くならないため眠くなりにくく、受験生の勉強部屋で使用するご家庭も多いようです。

こたつ

こたつ

日本の冬の風景には欠かせない「こたつ」ですが、お部屋全体を暖めるものではないため、他の暖房器具との併用が必要になります。しかし下半身が暖まり、あたためられた血液が全身に循環しているので、他の暖房器具の設定温度は低めにしておきましょう。他の暖房器具と異なり、机の役割も果たすため、家族の団欒としても利用されます。

電気代は1時間5円程度。ついつい付けっぱなしにしてしまったり、付けたまま寝てしまったりしてしまいがちですが、電気代の無駄かつ、風邪をひく原因にもなりますので気を付けましょう。

石油ストーブ

芯に灯油を吸わせて燃焼する石油ストーブは、こたつ同様、日本の冬には欠かせない暖房器具でした。ヤカンをのせたりお餅やみりん干し、干しイモを焼いたりした方も多いと思います。

暖房能力が高く、また輻射熱で暖めるので柔らかな暖かさが得られ、器具自体もランニングコストも安いのがメリットです。ただし灯油の臭いがあること、安全性にやや欠けるため、最近のマンションなどでは禁止されているところが多くなりました。


最近よく見る新顔の暖房器具たち

最近よく見かける新たな暖房器具に「ハロゲンヒーター」「カーボンヒーター」「セラミックヒーター」があります。どれも似たような感じで、どこがどう違うのかわかりづらいのですが、ハロゲンヒーター、カーボンヒーターは遠赤外線による輻射式、セラミックヒーターは温風を出す対流式を用いた暖房器具で、いずれも部屋全体を暖めるというより、速暖性に優れているため冷えた体に当てることで素早く体を暖めるものといった位置付けです。トイレや脱衣所では単体で、リビングなどでは補助的に使用する暖房となります。

ハロゲンヒーター

ハロゲンヒーター

扇風機そっくりな形で、ここ数年でよく見かけるようになったハロゲンヒーターは、ハロゲンランプにより必要な温度まで瞬時に上昇する瞬間暖房です。遠赤外線で身体の芯まで暖めてくれるほか、空気を汚さないので換気の必要がなく、運転音も静かといった特長があります。転倒したときには自動的に電源が切れるなど、安全性への考慮もあり、なかにはマイナスイオンを発生させるといった付加機能が付いたタイプもあります。商品によって異なりますが、電気代の目安は1時間10円以下~20円程度です。

しかし熱源のハロゲンランプには寿命があり、商品によって異なりますが、ランプが切れると交換しなけれがなりません。また強い衝撃を与えると割れてしまうといったデメリットがあります。

なお体感的には暖かいと感じる程度の温度でも、近距離で長時間あたると低温やけどをしてしまうことがあります。低温やけどはお年寄りや幼児に多いので、リビングなどで長時間使用する場合には、注意が必要です。

カーボンヒーター

カーボンヒーター

カーボンヒーターも、ハロゲンヒーター同様、速暖性に優れた暖房器具です。しかし熱源に使用しているカーボンランプは、ハロゲンランプのように寿命や交換する必要もなく、手軽さはハロゲンヒーターより上かもしれません。商品によって異なりますが、電気代の目安は1時間10円以下~20円程度です。なおハロゲンとカーボンを組み合わせた商品もあります。

セラミックファンヒーター

セラミックファンヒーター

セラミックファンヒーターは熱源にセラミックを用い、ヘアドライヤーのようにスイッチを入れるとすぐに温風が出る速暖性と、ヒーター自体が一定温度を保ち、赤熱しないという特長があります。高い安全性が広く受け入れられている暖房器ですが、電気代の目安は1時間約20円~30円と、ハロゲンヒーターやカーボンヒーターと比べて少々高めです。

なおセラミックファンヒーターは空気清浄機能が充実している商品もあり、除菌イオンを放出してカビ菌やウィルス菌を抑えたり、フィルターでホコリや脱臭を行うもの、加湿セラミックヒーターという、加湿器機能が装備された商品もあります。


足元からポカポカ、床暖房

床暖房には床に敷くだけで暖をとれる手軽な床暖房と、床下に熱源を入れるなど大規模な工事が必要な床暖房の2種類があります。後者の床暖房はイニシャルコストはかかるものの、日本の住環境にも合い主流となりつつあるようです。

床暖房(カーペット式)

床暖房(カーペット式)

足元の冷えを手軽に解消してくれるのがホットカーペットなどとも呼ばれているカーペット式の床暖房です。長時間使用していれば結果的に輻射熱によって部屋全体も暖まるかもしれませんが、床暖房に触れることで体を暖める、補助的な暖房器具として使われるのが一般的です。

省エネ化が進んだことでランニングコストはとても経済的。1時間で5円前後という商品もあります。発水加工や防ダニなどの衛生面に配慮しているほか、さまざまな色や柄、毛質があり、お部屋と好みに合わせた選択が可能です。またカーペットタイプではなく、キッチンなどに敷ける木目調のもの、畳、高級絨毯調などさまざまな種類があります。

なおホットカーペットの上に敷いた布団に寝ていたことで、熱中症や脱水症を起こすケースや、長時間ホットカーペットで暖まっていたことで低温やけどを起こすこともありますので注意が必要です。

床暖房(設置式)

床暖房(設置式)

床からの伝導熱と放射熱で、冷えやすい足元からじんわり暖める暖房で、最近の新築マンションでは最初から設置されていることも多くなりました。健康によいとされる頭寒足熱型の暖房であるとともに、静かで空気を汚さず、ダニなどの発生もおさえるといった利点があります。お部屋全体を暖めるのに時間がかかりますが、一旦暖まると暖かさが持続するという特長もあります。

欠点としては、電気式、ガス式いずれの床暖房にしても設置費用に数十万円ほど必要となる点。ランニングコストも1時間20円~30円と高くなってしまうものもあります。なお電気式の床暖房には電熱マット、電熱シート、発熱線ユニット、温水チューブを使用するなどさまざまな種類があり、建物の材質によって最適なものが選べるようになっています。

なお床暖房は暖房器具が床下に設置されるため、日本のようにそれほど広くない室内の暖房には適しています。またインテリアの邪魔をしない点もメリットです。床の仕上げ材はフローリングだけでなく、カーペット、コルク、畳、タイル、石と多種多様、好みのインテリアに合わせて自由に床材を選ぶことができます。


より快適な暖を目指して

寒い季節に暖かい室内というのは、それだけでなんとも幸せな気分にしてくれます。そこでちょっと気を付けるだけでより快適な暖が得られる情報を紹介します。

フィルター掃除で燃費が向上

エアコンやファンヒーターは室内の空気を取り込み、暖めて排出するためフィルターにはホコリがいっぱい。1週間も使っていると、フィルターには驚くほどホコリが付いています。ホコリが付いたままだと効率が悪くなってしまうので、1週間に1回は定期的にホコリを取り除きましょう。燃費が向上し、暖房費を下げることができます。

設定温度を下げる

素早く室内を暖めたいがために設定温度を高くして暖房のスイッチを入れることはよくあります。しかしそのままにせず、お部屋が暖まったら設定温度を下げましょう。環境省では地球温暖化防止のため、オフィスでは暖房の設定温度を20度にしましょうという「ウォーム ビズ」を推奨しています。家庭でも寒ければ1枚多く服を着る、厚手のカーテンで保温効果を高める、扇風機を使って暖気を循環させるなど、効率のよい暖をとりつつ、光熱費の節約、省エネも行いましょう。

結露は家と健康へのダブルパンチ

結露は室内の暖かい空気中の水分が、外気によって冷たくなった窓ガラスで冷やされることで水滴になってガラスに付着します。壁や床を汚したり、窓枠が痛むだけでなく、アレルギー、アトピーを誘発させるカビ・ダニの発生の原因にもなります。外気との温度差を少なくする複層ガラスや2重サッシは結露の発生を抑えますが、簡単にリフォームすることは難しいので、その場合は吸湿剤を置いて結露を吸収してしまいましょう。ただし吸湿剤をこまめに代える必要があります。

こたつは敷き布団も使う

こたつは"掛け布団"と"敷き布団"を使った方が、すきまがなくなることにより暖房効率がアップします。床がカーペットや絨毯でも、敷き布団を使いましょう。

その灯油、大丈夫ですか?

正しい保管をしていなかった灯油は変質し、暖房器具の故障などを招きます。昨年の灯油を使う場合、その灯油は雨水が入らず、直射日光が当たらない場所で、蓋をきっちり閉めた状態で保管されていたでしょうか? 不安な場合はガソリンスタンドなどで灯油を処分してもらい、新しい灯油を使うようにしましょう。変質灯油を使ったことによる暖房器具の故障は、保証期間中でも有料になってしまいます。



メンテナンス何でも相談窓口
MISAWA WEB TV
一覧からコラムを選ぶ