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ライフスタイルコラム
からだと環境にやさしい暮らし
自然の恵みを上手に暮らしに取り入れる
四季の変化がある日本では、家のつくりや季節に合った暮らし方などで、自然の恵みを上手に取り入れてきました。たとえば日本家屋は、深いひさしが夏の暑い日差しをやわらげ、冬は低い角度からの光を取り入れるように工夫されています。また雨の多い日本では、ひさしが雨よけの役割も果たしていました。さらに庭木の種類や配置によって、風や光を室内に取り込み、心地よい環境をつくっています。
南側の落葉樹は日差しをコントロールし、北側の常緑樹は冬の風を防ぐなど、先人たちは木の性質を上手に活かして暮らしを快適なものにしていました。最近見直されている打ち水も、見た目に涼を呼びながら、水が蒸発するときの気化熱を利用して周囲の温度を下げる先人の知恵です。雨水や掃除に使った水などをまいていたので、エコにもつながっていました。
日本人はこのように、季節に応じた自然の恵みを上手に暮らしに取り入れてきたのです。
日本家屋は、自然の恵みを上手に家に取り入れ、快適にエコを行っていました。今の暮らしでも取り入れたいですね。
今回の特集で「からだと環境にやさしい暮らし」について教えていただいた、國正珠緒さん。
<プロフィール>
建築事務所「yu-an」代表。一級建築士、ガーデナーとしてガーデンデザインや、庭造りのためのコンサルティングなど、幅広く活躍中。
体にも、心にも、そして環境にも優しい暮らし
こうした自然の力や恵みを上手に取り入れると、体や心にもムリのない暮らし方ができます。たとえば風を取り入れるには、入り口を低くし、出口を高くして「風の通り道」をつくることで温度差換気が行なわれ、家の中の湿気や熱が自然に逃げていきます。エアコンを切って外から入る爽やかな風は、きっと体にも負担がかからないはずです。そして家にとっても大切なことですね。
庭には、樹木や花を植えてはいかがでしょうか。樹木の葉には、水分を発散させる蒸散作用が周囲の熱も奪うので、温度を下げる効果があります。木陰を通る風は涼しく、葉の擦れ合う音や樹木の匂いを運んでくれます。またガーデニングも四季折々の恵みを暮らしに届けてくれます。
家の中を通り抜ける風は、体にもやさしく、気持ちがいいものです。家の中に風の通り道を作りましょう。
エコライフにもつながる自然利用
風や光、自然の恵みを上手に取り入れる暮らしは、家族の健康や楽しみにもつながります。
風を室内に取り入れる以外にも、つる性植物を育てて涼を作る「緑のカーテン」という方法が人気を呼んでいます。窓や壁にひもやネットを張ってゴーヤやヘチマなどのつる性植物を植え、緑の葉を這わせていくものです。葉が茂っていくと夏の日差しを遮り、蒸散作用によって内側にひんやりした空気を作ります。緑のカーテンには、温度を下げる効果のほか、爽やかで美しい景観をつくり、実がなれば収穫できるという一石三鳥の楽しみがあります。
また庭や玄関に植える樹木であれば、樹形の美しいヤマボウシやエゴノキ、カツラなどをおすすめします。見た目にも涼しく、シンボルツリーとして建物や庭を優雅に演出してくれます。キウイやブルーベリーなどの樹木を育てれば、収穫の楽しみも味わうことができます。ご家族と一緒に手入れをすると、コミュニケーションが生まれますし、収穫した実を果実酒やジャムなどに活用すれば、手作りの楽しみも広がります。
さらにプランターでミニ野菜を育てたり、キッチンガーデンとしてハーブを育てるのもおすすめです。愛情を込めて育てた野菜は、家族の話題を集め、お料理にすれば格別な味がすることでしょう。
自然をうまく取り入れると、心とからだにやさしく健康的な暮らしが生まれてきます。そして自然の恵みを活かした暮らしは、環境にも目を向けたエコライフにもつながっているのかもしれません。
ゴーヤやへちまなどのつる性の植物を建物の南面に育てることで、日陰がうまれ、涼しい環境になります。
ミントやルッコラ、バジルなどのハーブは、キッチンガーデニングとして楽しめるグリーンのひとつです。
捨ててしまうものを再利用
不必要なもの、ゴミなども、ちょっとした手間をかけるだけで生活に役立つ、生活を豊かにしてくれるものになります。
野菜クズや肉、魚の食べ物の余りは、コンポストで堆肥にすると土作りに活かすことができます。
アボガドや果物のタネを蒔いて、育てみませんか。インテリアグリーンとして楽しむことができます。
ハーブを収穫したら、料理やポプリの他にネットなどに入れて入浴用にも使ってみませんか。
形の大小や形状にとらわれずに何度でも包むことができる風呂敷が見直されています。ワインやスイカ、ティッシュ箱、書籍など、形状に合った包み方を覚えれば、さまざまなシーンで役立ちます。柄も日本的なものやデザイン性の高い種類も多く、包んだ後に出来上がる模様や形を楽しめます。また使用後は折り畳んでおけば、どこにでも収納できます。お好きな柄の風呂敷を旅行や買い物にひとつ携帯してみませんか。
風呂敷の包み方
エコプロダクツでエコライフ
不用になったガラスや紙製品などに工夫が加えられて、オシャレな雑貨になりました。暮らしの中に取り入れて、エコライフを楽しんでみませんか。リサイクルされたものを使うことは、エコライフにもつながりますよ。
不用になった蛍光灯のガラスを再生してつくった一輪挿しです。ガラスの硬質感とやわらかな曲線がつくりだす造形性はオブジェとして飾っても素敵です。
コンピュータのプリント基板でつくられたイギリス製の可愛いマグネットです。ハンドメイドなのでパターンや色がひとつひとつ異なります。
フィリピンのジュースパックを使ってカラフルなバッグをつくりました。ロンドンやパリでも人気のバッグで、水にも強いハンドメイドの一点ものです。
アメリカのデザイナーが雑誌の切り抜き700枚を使ってポップなバッグに変身させました。手工芸職人が約2日かけてつくるハンドメイドの一点ものです。表面はリサイクルプラスチックでカバーしています。
フィリピンのデザイナーがつくったクラフト紙のフラワーベースです。紙の束の一方をのり付けして360度に広げてつくられ、中心には取り外しができるアルミの筒が入っています。
不用になったタイヤでつくられた女性用(サイズ24cmまで)のサンダルです。素材がタイヤなので耐久性があります。収納できる袋がついています。
「エコ」に関する書籍等の紹介
これからの暮らしは、環境を無視しては成り立ちません。環境問題やエコライフとは何か、自分には何ができるのか、そんなことを考えさせてくれる本を紹介します。
中学2年生の悠太くんの質問に対して、約40年に渡って環境問題に取り組んできた著者・立山裕二が答えるという形で、環境問題について、著者なりの見解や実践方法を提示しています。「私はこうしていますが、皆さんはどうしていますか?」という著者の問いかけを通して、あなた自身の環境問題を考えてみてください。
総合法令出版
立山裕二・著
1,575円
食べ終わったら何も気にせず捨ててしまっているお菓子の袋。しかし、キャラメルコーンの空き袋がブックカバーに、ハーゲンダッツのカップがピンクッションに、ポッキーの空き箱がペリペリできる封筒になるなど、お菓子の空き箱を使って、楽しくかわいい雑貨を作る本です。お菓子を見る目が変わってきますよ!
青山出版社
平田美咲(著)
1,260円
重曹や酢でキッチン&部屋を掃除、5層鍋でエコロジークッキング、壊れた家具は市販の修理剤でもと通り‥‥。本書は、そんな環境にやさしく、しかも節約できる循環型の暮らしの知恵を多数紹介します。「ナチュラルライフチェックリスト」付き。
永岡書店
ユーイーピー
1,050円